ただ話すだけなのに「頑張る」「疲れる」「気を使う」……。日々のコミュニケーションで苦戦苦闘している日々よ、さようなら。これからは、説得しようと力業で勝負する必要はありません。自ら動くのではなく、相手に動いてもらい、自分の思い通りの結果に導けばいいのです。
それを可能にしたのが、大久保雅士著『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』だ。「トップセールス」の実績を持つ「メンタリズム日本一」が生んだ至極のコミュニケーションスキルが詰まった一冊。本書より、徹底的に磨かれたノウハウを一部抜粋し、「口下手で人付き合いが苦手」な人でも今日からすぐできる方法を紹介する。
人に嫌われる三大要因を排除する
前回の記事「好かれたいなら、まずやめるべきこと」に反響がありましたので、今回は「好かれるために、気をつけるべきこと」を紹介します。
「人とコミュニケーションを取るうえで、気をつけていることは何ですか?」
この質問は講演や研修後の質疑応答で一番聞かれる質問ですが、答えは毎回同じ。
「『自己中心的』『無神経』『後ろ向き』にならないよう気をつけています」
この3つは人に嫌われる三大要因だからです。
メンタリストは観客を魅了するのが仕事ですから、観客に嫌われていてはプロ失格です。
相手の考えていることを読み取り、当ててみせても、「どうですか! 私すごいでしょ!」という自己中心的な態度は取りません。それよりも「考えていることがわかりました。あなたの思いが私に届いた証拠です!」と言えば嫌な感じは残りません。自分が自己中心的な思考になったときは、相手を中心に物事を考えるように切り替えることです。
そんなときは、主語を「私」ではなく「あなた」に変換するだけでいいのです。
また、相手への配慮が足りない無神経な態度もいけません。場を盛り上げるためだとしても、ちょっとした冗談のつもりで相手の容姿や性別、年齢を皮肉って、笑いを取っても意味がありません。常に相手の頭の中を想像し、気遣いの意識を持つだけでいいのです。
そして、後ろ向きな態度もいただけません。「たぶん成功すると思います……」なんて、自信なさげなメンタリストに誰が時間を割きたいと思うでしょうか。たまに演出として行なう人もいるかもしれませんが、基本的にネガティブな態度の人に魅力はありません。人に見せる姿は常にポジティブでいようと思うだけでいいのです。
これは私のメンタリストとしての心構えですが、実際のビジネスシーンでも同じです。もちろん万人に好かれることは無理ですし、価値観が違えば、時には人間関係がうまくいかず相手に嫌われてしまうこともあります。
「気にする必要はない。みんなに好かれる必要はない。嫌われる勇気を持とう」
そう思ったほうがいいことはわかっていても、心の底から思えるのは一部の人だけです。
嫌われるにしても思い当たる何かがあれば納得できるのに、理由がわからない。その結果、自信がなくなってしまう。そんな悪循環に陥ってしまった人を今まで何人も見てきました。やっぱり嫌われるのは嫌ですよね。
そう。人に嫌われる理由は自分では気づきにくいのです。
では、嫌われる行動を起こさないようにするには、どうすればいいでしょうか。相手の思考や行動をこちらの仕掛けで導くのです。
たとえば、私がお手伝いをした珈琲ショップではこんな仕掛けをしました。その珈琲ショップは店頭で珈琲の試飲会をよく行なっていたのですが、受け取った方に店舗の宣伝をしすぎてしまい、嫌がられて入店する人が減ってしまったのです。
そこでゴミ箱を店内に設置することにしました。試飲会で珈琲を受け取った方には店内を指し、「ゴミ箱はあちらにあります」と伝えるだけにしたのです。
すると、ほとんどの人が入店するようになり、結果的に珈琲豆の売上がアップしました。利用者はゴミ箱の案内を「親切だな」と感じたかもしれませんが、こちらは警戒心を持たずに入店していただくのが目的だったのです。
自分や相手の行動を誘導する仕掛けを用意しておくだけで、人に嫌われる行動を起こさないようになるのです。
(本原稿は、日々のコミュニケーションがラクになる36のノウハウが詰まった書籍『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』から一部抜粋、編集したものです)