一つは、手取り年収の減少だ。厚生年金保険料や健康保険料、介護保険料などの社会保険料は増加傾向にあり、配偶者特別控除の一部廃止、年少扶養控除廃止などにより所得税や住民税も負担が増している。つまり額面年収が同じなら、給与から差し引かれる社会保険料や税金が右肩上がりに増えている分、手取り収入はどんどん少なくなっているわけだ。

 加えて、近年は消費税増税の影響も大きい。2014年4月に消費税率は5%から8%に引き上げられた。2017年4月には、再度、8%から10%への引上げが予定されている。

 これらは数字をみても明らかである。大和総研の「消費税増税等の家計への影響試算」(2015年度予算案反映版)では、2011年~2018年の家計の実質可処分所得の推移を試算している。

 この試算においての「実質可処分所得」とは、リアルな手取りのことで「可処分所得=税引き前の給与収入-(所得税+住民税+社会保険料)+児童手当(子ども手当て)」とし、さらに消費税が1%引き上げられるとその年度に物価が0.72%上昇するという大和総研の予測に基づいて、消費税増税分も考慮したものだ。

 次のページの【図2】は、世帯年収500万円の会社員のケース(片働き、3歳以上中学生以下の子ども2人)を試算したグラフだ。同じ年収でも、2011年と2018年では、実質可処分所得が年間30万円以上も減っていることがわかる。減少の要因を見ると(次のページの【図3】)、今後は消費税増税の影響が非常に大きいことも見て取れるだろう。

 使えるお金は減っているのに、今の40~50代は支出も膨らみがちだ。特に家計への負担が大きいのが、教育費である。

「子どもにはできるだけ充実した教育を受けさせたい」と思うのは親心だろう。だが、高校生や大学生の子どもを持つ40代後半~50代半ばの親世代は、その親世代である70代と比べ、格段に重い教育費支出を強いられていることをご存じだろうか?