昭和52年と平成25年で比較すると、この間に公務員の初任給が2倍ちょっとに伸びた一方、大学初年度にかかる授業料と入学費は私立大学で約3倍、国立大学は約5倍にもなっているのである。
また、今の40~50代はバブルの時代やその残り香を知っている世代だ。家計相談を受けていると、他の世代と比べ、突出して「消費好き」が多いと感じる。
もちろん、この世代でも無駄遣いをせずしっかり貯蓄できている人はたくさんいるが、「クルマは持っていて当たり前」という人、海外旅行に行ったりゴルフをしたりするのにどんどんお金を使う人、ブランド物を好む人が40~50代には多い。「消費好き」なので羽振りは良く見えるが、「実は貯蓄がほとんどできていない」というケースはめずらしくない。
ここまで読んで、「自分は“下流老人予備軍”だ」と気付いた人は、今、冷や汗をかいているかもしれない。だが、“下流老人”への転落を防ぐ方法はある。
まずは現状を正しく認識し、「大丈夫なはず」という“気持ちの粉飾決算”をやめることだ。「なんとかなるさ」ではなく、「なんとかする」と決め、老後に向けてしっかり準備していかなくてはならない。
本書は、“下流予備軍”が本当に“下流”に流されてしまわないよう、適切な老後準備を進めていくための羅針盤となることを目指している。ぜひ、危機意識を持って読み、第1章から紹介する具体的な対処法を実践していってほしい。