なぜ「国体」から「国スポ」へ?佐賀県が挑戦する前例なきスポーツ大会

 この4月から、官民連携で高校生アスリート寮を3カ所オープン。佐賀から世界を目指すアスリートたちが生活しており、西九州大学と連携した食事のサポートも行っています。

 また、最近注目されている女性アスリート特有の健康問題や悩みについても、医療機関と連携して相談窓口や女性アスリート外来をつくり、支援する体制を整えています。「する・育てる・観る・支える」全ての人がスポーツを楽しめる環境をつくってピラミッドを大きくし、世界中のいろいろなスポーツが佐賀で育成されるようにしていきたいです。

海外から学ぶべき
スポーツを通じたアスリートへの還元

なぜ「国体」から「国スポ」へ?佐賀県が挑戦する前例なきスポーツ大会

 また、私がラグビーワールドカップ組織委員会で働いていたとき、オーストラリアをはじめ海外の様々な会場を訪れ、あることに気付きました。日本と海外では観戦スタイルがまるで違うんです。日本では試合開始の1時間前には入場してすぐ席に着くという人が多いのですが、海外では席に着くのは試合が始まる直前で、それまで思い思いに過ごしています。会場周辺では様々なイベントや、VIPが集うビジネス交流会なども開かれていて、スタジアムで1日を過ごすことが日常になっている。そんなふうに過ごせる仕組みをしっかりつくって、お金を集めて、アスリートに還元しているのです。こうしたスポーツを活かした循環は、海外から学ぶべきものが多いと思います。

なぜ「国体」から「国スポ」へ?佐賀県が挑戦する前例なきスポーツ大会

 現在、SAGAアリーナやSAGAアクア、SAGAスタジアムなどが集まる「SAGAサンライズパーク」を整備しています。単にスポーツ観戦をするだけでなく、ミニバスケットを楽しめる空間や複数のジョギングコースもつくっています。また、子どもたちが水遊びできるスポットなど、多くの方が日常的に訪れる空間を目指しています。地域の方々の人生の傍らにあるSAGAサンライズパーク―—そんな場所にしたいですね。

なぜ「国体」から「国スポ」へ?佐賀県が挑戦する前例なきスポーツ大会

 まずは、2024年の『SAGA2024国スポ・全障スポ』を佐賀ならではの大会として開催すること。それが当面の目標ですが、SSP構想を進めるうえで、国スポ・全障スポはゴールではありません。大会後も、スポーツを深く理解できるような環境づくりを追求していきます。そのためには、前例にとらわれず、スポーツ選手と同じように、私たちも常に「挑戦」し続けていくことが大切なんです。

山口祥義(やまぐち・よしのり)/1965 年生まれ(本籍地は佐賀県)。東京大法学部卒、89 年に自治省(現総務省)入省。総務省過疎対策室長のほか、東京大教授(地域政策)やJTB総研地域振興ディレクター、(公財)ラグビーワールドカップ2019組織委員会事務総長特別補佐なども務めた。2015 年1月より佐賀県知事