結論を言ってしまえば、あなたに必要なのは「会社を動かす力」です。

 具体的には、会社を動かすための「戦略策定力」と「戦略実行力」です。

 でも、いきなりそんなことを言われてもピンとこないでしょうか?

 本書では、「戦略策定力」と「戦略実行力」を身につけるための方法を、順を追ってわかりやすく説明していきます。

会社を動かす経営学

 ここで簡単に自己紹介させてください。

 筆者は、新卒で富士ゼロックスに入社し、在職中の1987年~88年に、慶応義塾大学大学院経営管理研究科に派遣され、経営学修士号(MBA)を取得しました。そして、35歳のときにコンサルタントとして独立しました。

 以来、25年にわたって企業内教育研修の仕事を一貫してやってきました。これまでやってきたことは、大手企業の選抜人材(幹部候補生)を対象とした企業内ビジネススクールの企画・運営です。

 これまで教育研修に関わったのは、東レ、JR西日本、みずほフィナンシャルグループ、商船三井、全日空、パナソニック電工、住友重機械、古河電工、ツネイシホールディングス、シスメックス、カイタック、モルテン、ニッケなどの大手・中堅企業です。

 これまで、のべ5000人以上の生徒を教えてきました。その多くで、経営トップのコミットメントのもと、将来の幹部候補生たちが「経営学」を武器として身につけ、会社の方向性そのものを変えていくような人材に育つのをお手伝いしてきました。「なんだ、研修屋さんか」と思われたでしょうか。

 ですが、筆者が実施している研修は、何となくわかったような気になったり、できるような気になったりするという安易なものではありません。

 筆者の研修(各社名称がさまざまなので、以下「経営塾」と呼びます)は、大きく2つの特徴があります。

 一つは、古典と呼ばれるような名著の精読を通じて、経営学の基本を徹底的に学び戦略を策定することです。たとえば、ポーターなどの分厚い経営学の理論書を徹底的に読み込んでもらいます。

 もう一つは、策定した戦略を自社の本当の事業として実践することです。座学では終わらないのです。