ポイントの強さは会員数ではなく
「使われ方と使い方」で決まる

 そもそも指摘しておきたい点があります。

 日本の人口は約1億2500万人です。ポイント5強の上位4陣営はそれぞれ会員数約9000万人~1億1000万人といったレベルです。単純に考えれば、ほとんどの国民は四つのポイントに全部入っていて、そのうちの約半分はPayPayを含めて五つ全部がスマホに入っていると捉えるべき数字です。

 そう考えるとポイントの強さは会員数ではなく「使われ方と使い方」で考えるべきです。そのポイントが本当に使われているのか?そして会員情報をマーケティングデータとしてどう使うのか?それでポイントの強さを測るべきなのです。

 ここで、クエスチョンです。あなたはポイント5強の中で強いのはどのポイントだと思いますか?

 この記事の最後で「実は会員数はトップではなくてもドコモが最強だ」という私の意見を述べますが、そう唱える理由はみなさんの常識とはかなり違った考え方かもしれません。

 2003年に本格的に始まったTポイント事業は、当時の日本においては画期的なビジネスでした。どこが画期的かというと、業界横断でかつ当初は一業種一社に限ってパートナーを選び、そのうえでお互いがお互いに顧客を送り合おうというコンセプトだったのです。

 たとえばガソリンスタンドのエネオスはTポイント開始当初からのパートナーですが、エネオスが会員になった時点で、他のガソリンスタンドは加入できなかったのです。

 これは当時の業界大手としては提携話に乗りやすい条件でした。自社の顧客が競合に流れることがない一方で、他の業界を代表する大手とお互いに顧客を送り合うことができるのですから。

 そうしてTポイントは日本における業界横断のポイント事業の草分けとなり、ポイント業界のリーダーとなったわけですが、この当初のコンセプトが後にTポイントの苦境を生むことになります。

 簡単に言えば、業界トップ同士が提携して共同でポイントを運営している間は強いのですが、提携相手が離脱を始めると急速に陣営の価値が下がるのです。その意味で近年、Tポイントが急速に失速した理由は主要株主だったソフトバンク・ヤフー陣営とファミマがそれぞれTポイントとの距離を見直したことでした。

 ファミリーマートはTカードも発行しつつ、顧客に対しては店頭でdポイントや楽天ポイントも使えるように対応するマルチポイント化に踏み切りました。

 そしてソフトバンク・ヤフー陣営は、新事業としてのPayPayを始めたことでポイントビジネスを自社展開することになり、結果としてTポイント陣営から離脱します。

 これは要するに、Tポイントの7000万人の会員が分裂して5000万人がPayPayを始めたということです。会員は同時にTポイントとPayPayがスマホに入っているのですが、ここで重要になるのはそれらの会員がどちらのポイントを使うのかということです。

 ここで改めてポイント5強の顔触れを見直してみると、dポイントはドコモ、PayPayはソフトバンク、pontaはau、楽天ポイントは楽天モバイルとくっついていることがわかります。

 そして顧客データをもとにクーポンなどを発行して送客するビジネスモデル自体も、スマホ上にその主戦場を移しつつあります。

 ポイントビジネスとは本来は会員の囲い込みとターゲティングがその本領です。ところがスマホ時代になって顧客は囲い込まれるどころか複数のポイントのマルチ利用へと変化します。

 どのポイント陣営も人口とほぼ同じ1億人前後の会員を抱えている(新興のPayPayはまだ5000万人ですがいずれ1億人に到達するでしょう)以上、重要なのはターゲティングです。

 その点ではスマホ各社とつながっているポイント4強はそもそも優位な地位にあります。中でも、検索履歴が利用できるヤフーとGPSによる行動履歴が把握できるソフトバンクが後押しするPayPay陣営は最強かもしれません。

 それらのライバルの優位性と比較して、やはり携帯電話を持っていないという点でTポイントはVポイントとの統合で会員数を増やしたとしても、相変わらず苦しい状況は続くように見えます。

 ただし最後にお話しするように、本質的には新生Tポイントは面白いポジションにいると私は思います。