ポイントでは「おいしい顧客」は
獲得できない

 先に、ポイント業界の問題点を指摘したいと思います。

 確かにPayPay陣営や楽天ポイント陣営などは検索履歴、購買履歴とポイント履歴を交えたビッグデータ分析で面白い展開をすることができると思います。さまざまなキャンペーンを仕掛けて、顧客を動かすことができるのです。

 ただ要注意なのは、それら「ポイントにつられて動く顧客」は実はソフトバンクや楽天が思うほどおいしい顧客ではないかもしれません。

 ビッグデータ分析が進歩してわかってきたことのひとつに、従来は儲かるリピーター客だと思っていた客層が、実はそれほど利益につながっていなかったことがわかり始めたという話があります。

 たとえば航空会社の場合、年間6万マイル飛ぶダイヤモンド顧客が実は出張が多いがゆえに常に最低価格のチケットしか購入してくれない儲からない客だということがわかったりしています。本当は飛ぶ頻度ではなくて、たとえば忙しいために直前にチケットを正規料金で買ってくれる顧客の方がおいしかったりするのです。

 私はPayPay陣営のヤフーのキャンペーンが大好きで、キャンペーンのお知らせがくる度に買い物に利用します。9月にはヤフーショッピングで「5のつく日曜日祭り」があって、買い物はその日にあわせ20%前後のポイント還元でたくさん買い物をしました。電子書籍もポイントが大幅増額される金曜日にしか買いません。そしてこういう計算高い顧客は実はそれほど儲からないものなのです。

 ではどのような顧客が一番儲かるのでしょうか?

 それは、こういったキャンペーンにあまり反応しない顧客が一番儲けさせてくれる顧客だったりするのです。たとえば20年以上同じ百貨店を使っているとか、毎日同じスーパーで買い物をしているとか、そんな顧客です。