円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術#1Photo:AH86/gettyimages

国税庁の相次ぐ「節税策つぶし」の攻勢で、主立った節税策がつぶされた今、富裕層はどのようにして節税をしようとしているのか。抜け道はあるのか。特集『円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術』(全16回)の#1では、日常的に富裕層の資産管理と節税を手掛ける税理士やコンサルが、その知られざる内幕を本音で語る匿名座談会をお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

▼座談会参加者(仮名)プロフィール

皆元頼夫 税理士

平良清志 資産家向けコンサル

北城保時 資産家向けコンサル

江間義人 税理士

畠山茂  税理士

「次々ふさがれる節税手段『これからどうしよう』という相談が増えてます」

――今日は富裕層の節税に詳しい皆さんにお集まりいただきました。最近の富裕層の資産防衛はどうなっているんでしょうか?

皆元頼夫(皆元) 30年この仕事やってますが、節税に対する考え方は富裕層の「タイプ」別で全く異なる。昔ながらの人は地主や地方優良企業の非上場オーナー、古くから上場している企業のオーナー、医師あたりです。これに平成バブルの不動産長者やアベノミクスで金余りになってきた人たちが加わりました。

 地主系の人たちはどんどん小粒になっちゃってます。土地を持っていても、建物を建てるか、貸すか、建てて貸すかしかできない。でも所有する土地が首都圏や大阪圏に近ければ借金漬けになってでも土地活用せざるを得ない。何もしなければそのまま相続税の餌食になりますから。どうしても嫌なら、土地を売却して地主をやめる以外にない。

 企業オーナー系は、創業家で持ち株の配当だけで何億も入ってくる30代の人もいる。その一方で、後継者不足で会社を売却する人たちも増えていて、この会社売却自体で一つの市場になってますよね。こういう人たちは、海外を使う節税はアンタッチャブルで。あまり発展的な人を見たことがない。資産をストックしてどんどん増えて70代になって初めて相続税が見えてきて、どうしようってなるケースが多い。

 後から資産を得た新興系の人たちの方が、海外を使った手段も含めいろいろやりたがるけど、そちらの方もどんどんふさがれちゃってるみたいな雰囲気ですよね。

――具体的な手段の傾向はありますか?

平良清志(平良) 節税手段の選択肢がどんどんなくなってますね。(※1)生命保険、足場・ドローンレンタルなど、以前は所得税や法人税の節税商品としてみんなが飛び付いていたものが、次々に税制改正でふさがれてしまい「これからどうしよう」というご相談がすごく多い。

円安に国税の規制強化と、逆風下で富裕層はどんな節税手段に乗り出しているのか。派手な広告で数百億円集め、ブームに乗る某節税商品業者が近々行き詰まりそうな理由とは?衝撃を呼んだタワマン節税最高裁否認判決の余波に、節税商品が利回り1%になって残りは業者に全て抜かれる理由、四大監査法人の一部も手を染める危うい手法とは?次ページからは匿名だからこそ話せる、超盛りだくさんの富裕層節税のリアルに迫っていく。