よどみなく話す上司は二流、意外な「部下からの見え方」写真はイメージです Photo:PIXTA

「リーダーは流ちょうに話さなければならない」という間違った定説が流布しているように思えてならない。リーダーがメンバーを巻き込む目的を果たすために、流ちょうな話はむしろ逆効果なのだ。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

リーダーが“流ちょうに話す”必要はない

 私は普段から、さまざまな企業の各職位のリーダーとリーダーシップ発揮力をその場で向上させる演習プログラムをトレーナーとして実施している。

 リーダー役とメンバー役の2人一組でロールプレイし、リーダー役がリーダーシップ話法を繰り出し、メンバー役はアドリブで答える演習をよく行う。

 リーダー役は自分が話しているところをスマホで自撮りし、録画内容を自分で確認し、動作と話法と修正していく演習を反復していく。自分の動作と話法を自分で確認することが初めてだという人は多い。自分が話している様子を意外に感ずる人もいれば、直視することに抵抗感を持つ人もいる。

 他の人からはどう見えて、どのように聞こえているのか、聞き手になったつもりで録画内容を見ると、相手にどのような印象を与えているかを、自分で確認することができる。どこをどう改善していくか、次のロールプレイで修正したい点を見極めていただき、自撮りロープレを繰り返す。

 自撮り内容を自分で確認した感想を聞くと、「途中で言葉に詰まってしまった」「流ちょうに話せなかった」と言う人が少なくない。このような感想に接すると、私は、必ず「それで良い」と申し上げる。

 リーダーとして発揮する動作や話法の目的は、メンバーを巻き込むことだ。聞き心地の良い、流ちょうさを求めるアナウンサーの話法とは大きく異なる。

 実は、流ちょうな話法はメンバーを巻き込むパワーが低い。よどみなく話すリーダーにはメンバーが付いてこないことが多いのだ。その理由を紹介しよう。