お客さまの喜ぶ姿、お客さまからの感謝の言葉があれば「出る杭」でいられる
――大櫃さんが他の方と違うやり方をしていくなかで、周囲からの評価はどのようなものだったのでしょうか。出る杭は打たれる面もあると思いますが、その乗り越え方も教えていただきたいです。
大櫃:入行して4、5年目あたりで、実は大きな失敗をしました。
当時は、今後の出世も諦めないといけないと感じ、非常に落ち込んでいました。
でも、当時の素敵な上司に支えられ、残る選択をしたわけですが、そこで辞めなかったからこそ今の自分がある。
失うものはないと思っていたから、自分の進めたい方針に対して反対する方がいても、あまり怖くはなかったですね。
ただ、気にはなりましたよ。気にはなりますし、嫌なものです。でも、それで自分の行動軸を変えようとは思いませんでした。
――逆に、多くの人はそこが捨てられない。周りを気にしているから、なかなか一歩が踏み出せないところがあると思います。
大櫃:いちばん辛いときにお客さまが「大櫃くんを3日間借りていいか」と当時の支店長に言いに来てくださって、その人が私をプライベートで出雲の物部神社というところに連れて行ってくれたのです。
白装束に着替え、芋粥だけ食べながら、余計な雑念を捨てて、自分に問い続ける修行を3日間させてくださったのです。それで吹っ切れたことがありました。
そういうふうに、苦しいところでお客さまが助けてくれ、導いてくれるんですよ。本当にありがたい。
結果、こういうお客さまに恩返しをしないといけない、こういうお客さまに喜んでもらわなければいけない、こういうお客さまに自分の成長した姿を見せないといけない。その繰り返しでした。
落ち込むことも当然ありましたが、それ以上にお客さまからの感謝の言葉、喜びの言葉、喜びの表情のほうが比べものにならないほど大きかったのです。
だから、めげそうになっても常に前向きでいられました。
平尾:私たち若手が、「もっと頑張って先輩方に追いついていかないと」と強く思いました。
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