大山詣での街道沿いに
「現代の寺子屋」ができた
古くは大山阿夫利神社への大山詣での歴史がある大山街道沿いの更地に、3階建ての木造住宅を新築した例があります。オーナーさんの住まいとの間にあった塀をあえて取り壊し、中庭のような空間を作りました。歴史ある街道沿いにあり、物件の向かいがお寺ということもあって、そうした街並みを大事にしていくことに共感してくれる店、人をあらかじめ探して、入居していただきました
結果、1階にはイタリアンレストランが、2~3階には大学教授ご一家が入居しました。レストランのオーナーには、大山街道の歴史などを伝えたうえで「この街道沿いにふさわしいイタリアンレストランにしてほしい」ということを依頼しました。今では、お箸で食べられることや日本酒とマリアージュするコース料理が人気です。
また大学教授は、近隣の人々を集め自宅リビングを開放し「○○になるには教育」という寺子屋を開催されました。「サッカー選手になるには」「市長になるには」などが行われ、元サッカー選手や現役の川崎市長を招き講演してもらったのです。街道沿いに「現代風の寺子屋」が誕生しました。
その後、教授ご一家は海外へ転出されたのですが、後のスペースはレンタルスペースとして地域の交流の場として生かされています。また、中庭はマルシェや子ども用図書館が常設されたほか、幼稚園の送迎バスの発着点としても活用されています。
当初、この物件は二子新地と高津という両駅の中間にあり、レストランを含めて果たして人が集まるか? という周囲の声もありましたが、レストランとレンタルスペースは今でも大人気です。
次回は100年暮らせるための間取りの工夫や、地域の魅力に共感する住民を巻き込むための方法や新たな住宅のあり様について紹介します。