10月1日からスタートした
「産後パパ育休」と「分割取得」とは?
そもそも、育児休業を取得するともらえる育児休業給付金とは何だろうか。
雇用保険に加入している人が、原則的に1歳未満の子どもを養育するために休業した場合の所得保障で、性別に関係なく、女性(母親)でも、男性(父親)でも取得できる。ただし、出産した女性は、出産日の翌日から8週間は健康保険から出産手当金が支給されるので、その間、育児休業給付金は不支給となる。
育児休業給付金は、両親そろって育児休業を取得する場合には、子どもが1歳2カ月になるまでの間に、それぞれ最長1年間支給される。また、保育所に入所できないなど特別な事情がある場合は、最長2歳まで支給してもらえる。支給額は、休業期間によって2段階に分かれており、180日までは休業前の賃金の67%相当額で、181日目以降は50%相当額になる。
制度ができた当初、育児休業給付金は職場復帰給付金と合わせても、休業前賃金の25%で、これだけで生活費や住居費、子どもの教育費などを賄うのは難しかった。そのため一家の主な生計維持者になることが多い夫の育休取得が進まなかったのは、仕方がないことでもあった。
だが、法改正を重ねるなかで、育児休業給付金の金額も引き上げられ、育児のために仕事を休んでも生活ができる、実効性のある制度に変わってきた。
さらに、今回の改正によって、育児休業制度は個別の事情に応じて、かなり柔軟に取得できるようになった。それが、この10月1日からスタートした「産後パパ育休(出生時育児休業)」と「育児休業の分割取得」だ。
これまで、育児休業は原則的に分割して取ることはできず、休業期間中に働くこともできなかった。新たに創設された「産後パパ育休」は、子どもの出生後8週間以内に4週間まで取得できる休暇で、原則的に休業の2週間前までに申し出れば利用できる。労使協定を結んでいれば、育児休業中でも一定の範囲内で就業することが許されている。完全に仕事を休まなくても育児休業を取得できて、休業した日数については、育児休業給付金が支払われる。また、仕事の都合に合わせて、分割して2回に分けて取ることも可能だ(申請は、まとめて1回で行う)。
また、本体の育児休業制度も、2回に分けて取れるようになり、配偶者の体調や仕事の都合に合わせて、柔軟に制度を利用できるようになったのだ。