オシャレすぎる
「スポーツと生活の融合空間」は一見の価値あり

 通常のレビュー記事なら、前作と今作の違いなどを細かく論じるべきなのだろうが、そうした部分の言及は他記事に譲りたい。本稿で主に伝えたいのはそこではなく、あくまで筆者個人が「ここが面白かった!」と伝えまくるだけの内容である。
 
 さて、『スイッチスポーツ』をプレーして、もっとも感銘を受けた点をまず紹介したい。それは「絵面がキレイで心地いい」である。「“もっとも感銘を受けた点”がそこなのか?」といぶかしがられるであろうが、これは本当に一見の価値があるので特筆しておきたい次第である。画質の向上は当然として、ゲーム画面、そしてスポーツを行う施設のデザインが秀逸である。
 
 ゲームの舞台は「Spocco Square(スポッコ・スクエア)」という、テニスコートやボウリング場が敷地内にあるスポーツ複合施設で、ゲーム内で「仕事や遊びにすぐアクセスできる」というような紹介がされている通り、スポーツとそれ以外のこと(仕事や通勤、遊びなどの生活)の距離感の描かれ方が革命的であり、両者は極めて近くにある。
 
 たとえばバレーボールやバドミントンのコートサイドに、しゃれたカフェや書店らしきものがあり、ボウリング場はガラス張りの天井で開放感に満ちあふれている。
 
 しかしそういえば、改めて考えてみると、我々はスポーツをやる際に心のどこかで「スポーツをするぞ」という心構えや準備を、ほぼ必ずしている。例外はストリートでたしなむスポーツくらいで、そうでないスポーツならすべて、プレーするためには施設に行って、更衣室で着替えて、コート・グラウンドに赴く……という手順を踏む。プレーをするコート・グラウンドは日常からは断絶した、非日常的な世界にあって、スポーツをする際はその非日常へと越境していく必要がある。
 
 しかし『スイッチスポーツ』のコートは、いかにも日常の一部に溶け込んでいる。このようなスポーツのあり方は、いかにも近未来に実現しそうな生々しさとワクワク感がある。
 
 たとえば筆者はあけすけなオシャレさを醸す建物やその内装に対してはアンチの気質があり、オシャレさを称賛する前に「調子に乗っちゃって。ケッ」という気持ちが先にくる。だから、「東京オリンピックの選手村をモデルにした」といううわさもある『スイッチスポーツ』の舞台「Spocco Square」は超絶オシャレで、ケッと思いたいところなのだが、「ケッ」では覆い隠せないくらい「いいなあ」という気持ちが大きい……。Spocco Squareは、それほどオシャレでワクワクさせてくれる。
 
 そのような場所で、自分の分身であるキャラクターが動き回っていることに、まず単純な喜びを感じることができた。