頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。27歳入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
将棋と経営の大局観
私は小学生のときに将棋を始めた。
中学からは将棋部に入って毎日将棋をしていた。
高校時代は、団体戦で関東3連覇、個人戦では東京都ベスト4だった。
将棋は経営に通じる点が多い。
事前研究、戦略、読み、形勢判断、限られた時間における決断の連続など、経営に必要な要素が詰まっている。
本書第2章のテーマである「全体最適」は「大局観」ともいえる。
羽生善治氏のベストセラー『大局観―自分と闘って負けない心』(KADOKAWA)にあるとおり、将棋において大局観はとても大切だ。
全体的に勝っているか、負けているかの戦況を見ることで次の一手が決まる。
将棋のあってはならない姿を表す格言
将棋は飛車を中心に攻めることが多い。互いの飛車のいるところが戦場になりやすい。
だが、将棋の目的はあくまで王将を詰ませること。
飛車のいる戦場で負けても、最終的に王将を取れば勝ち。
将棋のあってはならない姿を表す格言に、
「へぼ将棋、王より飛車をかわいがり」
がある。
全体を見ることが大切だと痛感した出来事
アンカーの経営でも以前、こんなことがあった。
モバイルバッテリーにはスマホを1回充電できる3000mAhから、PCを充電できる2万mAhを超えるものまで、様々な容量帯のモデルがある。
当時アンカーでは、オンラインにおいて最も市場規模が大きい1万mAh以上の製品をメインに販売し、高いシェアを獲得していた。
ところが、量販店などのオフライン市場を含む市場データを改めて分析したところ、5000mAh以下のボリュームが最も大きいうえに、完全に競合に水をあけられていた。
オンラインでの成功に甘んじ、大局観を見失っていたのだ。
大容量でシェア30%を獲得しても、中小容量の市場のほうが大きい場合、売上の取り逃しが大きい。
全体を見ることが大切だと痛感した出来事だった。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)