時代や環境変化の荒波を乗り越え、永続する強い会社を築くためには、どうすればいいのか? 会社を良くするのも、ダメにするのも、それは経営トップのあり方にかかっている――。
前著『戦略参謀の仕事』で経営トップへの登竜門として参謀役になることを説いた事業再生請負人が、初めて経営トップに向けて書いた骨太の経営論『経営トップの仕事』がダイヤモンド社から発売されました。好評につき発売6日で大増刷が決定! 本連載では、同書の中から抜粋して、そのエッセンスをわかりやすくお届けします。好評連載のバックナンバーこちらからどうぞ。

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トップが自らの頭の中に戦略を描き、
経営のPDCAを廻すのが米国式マネジメント

 これまでの経験から、企業の「戦略」と呼ばれるものは、こと日本企業においては事業の実態を知る立場のものが自身の頭で考え、自分たちの手を動かして策定したものが一番機能します。

 その過程を通して頭の中に出来上がった、前述の「ニューラル・ネットワーク」によって、自在に舵取りができ、ゴールに向けた的確な操舵が可能になるのです。

 戦略系のコンサルティング会社などに依頼して精緻に論理的に作り上げられた戦略が、事業のその先の勝算を読み、舵取りを行うにあたっての「初期仮説」として有効なのは間違いありません。

 ただしこれはもともと、戦略系のコンサルティング会社が米国発祥であることもあり、それなりの成功報酬も伴う米国のトップが、それこそ知力と体力の限りを尽くして自身で采配を振るマネジメントを前提として開発された、戦略という名の「初期仮説」を提供するサービスなのです。

 そもそも企業を発展させる総責任者であり当事者として、トップが自らの頭の中に戦略を描き、必要に応じて細かい舵取りさえも自身で行う経営のPDCAを廻すのが米国式のマネジメントです。

 その立案を外部の参謀スタッフとして戦略系のコンサルティング会社が、論理的にも理にかなった形でアウトソーシングを請け負います。

 過去も含めて「現状把握」を事実ベースで、MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)、つまり「もれなくダブりなく」行い、そこからの「意味合い」をしっかりと抽出し、現状の突破に重要な因果を解き明かして、成功のためのシナリオを見出します。

 この最初に立案する仮説となるシナリオの精度を高めるために、参謀スタッフはトップとのミーティングを重ねて、トップの認識との差異を埋めるための修正や追加の分析を繰り返しながら仕上げていきます。

 トップはこの戦略策定のプロセスを通して、自身の肌感覚やこれまで抱いていた仮説の裏付けを行います。よって戦略が出来上がった段階では、トップが自身で采配を振るための初期仮説が背景や今後の展開なども含めてイメージを描きます。

 こうして出来上がった戦略は、本来、トップ自身の口から社内に発信するべきものです。

 そして実施段階においては、戦略における「現状把握」、抽出した「意味合い」、設定した問題の選択肢、選んだ打ち手の有効性などに読み間違いがなかったかを検証し、必要に応じて戦略の前提にあった思い込み部分などを修正し、舵の切り直しを行います。