「同期にだけは負けたくない…」
競争意識こそが最大の原動力

「ハーバード留学時代の同期生だった楽天の三木谷氏に引き抜かれた武田和徳氏(現・楽天副社長)は、15年目で基幹職に昇格した『特選』でした」(武田氏と同期入社の元トヨタ社員)。

 外の世界に一歩出れば意味がなくとも、1年早いか遅いかを同期に意識させることで競争を促す。出世できれば将来取り返せる──と思えば、時間に関係なくがんばり、サービス残業も惜しまず働くから、会社にとって好都合なのである。

 結果的に、分布としては、30代後半に全員が年収1000万円に到達し、40歳前後から昇格によって差が開き始め、「普通の人」は課長どまりで1500万円ほどに、40代後半の次長選抜を経て、部長になれれば2000万円に。出世レースから早々に降りた人は1200万円台まで、といったバラツキ具合になって、定年を迎える。

 これが「分布」である。

 全体として右肩上がりの年功賃金ではあるが、40代以降の出世の度合いによって、それなりの差はつく仕組みだ。35歳時点では額面800万円余りと、日本一の企業にしては高くない賃金も、後半戦で昇格できれば、ガンガン上がっていく。