いつまでこのシステムが維持されるかは不透明

 このような出世の仕組みがカッチリ決まった会社に、「外様」(中途採用組)がのし上がるカルチャーは存在しない。

 だが、昨今は自動車業界がEV化をはじめ「CASE」と呼ばれる100年に1度の変革期を迎え、慌てて中途採用を強化し始めている。従来はせいぜい1割だったが、2020年度実績では中途採用を「34%」に拡大したと公表し、50%にする、とまで公式文書で宣言している。

 電気自動車の技術、AI(人工知能)など自動運転の技術、通信の技術、それらを統合してビジネス化する企画力など、従来の自動車産業とはまったく異なる技術やノウハウが急速に必要となったからだ。

 となると、ITをはじめ、有望な他業種の若手を採用するには、トヨタの若手の賃金は決して高くないため、後払いの年功賃金カーブも、変革を迫られる可能性が高い。40年後に、この賃金カーブと分布が維持されているかは、日本一のトヨタでも、まったくわからない。

(本記事は『「いい会社」はどこにある?──自分だけの「最高の職場」が見つかる9つの視点』の本文を抜粋して、再編集を加えたものです)