移住後も忙しさに追われて、二度目のシフトダウンを決断
ハリス 建設的なシフトダウンにより、生活環境とか自然環境は豊かになったわけだよね。
四角 人生の豊さにおいては数段シフトアップしました。移住初年度の年収は10分の1に減ったので、資本主義においては明らかにシフトダウンですが(笑)。
ハリス 今はそうでもないでしょう?
四角 その後2018年に、レコード会社時代の最高年収を超えてたんですよ。好きなことしかやってないのに。
ハリス それもすごいね。
四角 でも、「これヤバい」と思ったんですよ。
ハリス 何でそう思っちゃったの?
四角 「お金持ち」ではなく、「時間持ち」になりたかったのに、気付けば2、3年ぐらいめちゃめちゃ忙しくて、激務だったレコード会社時代を超えていたんです。ああ、これじゃいけないと思って、2019年にほとんどの仕事を辞めてもう1回フルリセットしました。先日出た『超ミニマル主義』という本を当時書いてたので、この本の執筆だけに集中しようと。
ハリス コロナの前にリセットを決めていたんだ?
四角 そうです。それまで毎年10カ国を旅するような激しい移動生活を送ってたんですが、コロナ前にそれも中断すると宣言して。自著の執筆と、大好きな仲間が集うオンラインサロン〈LifestyleDesign.Camp〉の運営は残して、あとは全部辞めました。もちろん収入も減って半分近くになったけど、「食料自給率が上がれば大丈夫だろう」という発想で(笑)。
ハリス そうだよね。この本のことはまた後半で話すとして、ここで大輔君のリクエスト曲、Jason Mrazの「3 THINGS」をお送りします。なんかノリのいい曲だね。
四角 いつも聴いているんです。森に暮らしていると、アコースティックな曲しか聴けなくなってしまって。
ハリス ああ、わかる。
(対談は後編に続く)
『超ミニマル主義』では、「手放し、効率化し、超集中」するための全技法を紹介しています。
■番組名:Otona no Radio Alexandria
■出演者:Robert Harris
■放送局:interfm(TOKYO 89.7MHz)
■放送時間:毎週月~金曜日、11時00分~12時55分
■番組内容:ロバート・ハリスが送る、プレミアム世代へ向けた文化情報発信番組。
ラジオとともに時代を駆け抜けたプレミアム世代にとっての新たな”サード・プレイス”として、
心躍る懐かしの音楽とともに、好奇心をくすぐる雑談を添えて、”様々な生き方”のヒントを共有していきます。
執筆家・環境保護アンバサダー
1970年、大阪の外れで生まれ、自然児として育つ。91年、獨協大学英語科入学後、バックパッキング登山とバンライフの虜になる。95年、ひどい赤面症のままソニーミュージック入社。社会性も音楽知識もないダメ営業マンから、異端のプロデューサーになり、削ぎ落とす技法でミリオンヒット10回を記録。2010年、すべてをリセットしてニュージーランドに移住し、湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営む。年の数ヵ月を移動生活に費やし、65ヵ国を訪れる。19年、約10年ぶりのリセットを敢行。CO2排出を省みて移動生活を中断。会社役員、プロデュース、連載など仕事の大半を手放し、自著の執筆、環境活動に専念する。21年、第一子誕生を受けて、ミニマル仕事術をさらに極め――週3日・午前中だけ働く――育児のための超時短ワークスタイルを実践。著書に、『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』(サンクチュアリ出版)、『人生やらなくていいリスト』(講談社)、『モバイルボヘミアン』(本田直之氏と共著、ライツ社)、『バックパッキング登山入門』(エイ出版社)など。