増税日本代表の中核2人は
宮沢税調会長と岸田首相

 まず、「増税日本代表」の司令塔だ。

 宮沢洋一・自民党税制調査会長のことである。あらゆる機会をとらえては増税街道へと突き進む、財務族のドンである。頼りない岸田文雄首相に代わって、増税議論を何としてでも前に進めようとする筋金入りの増税論者だ。増税議論のたびに「国債での対応はあまりにも無責任」と得意満面に繰り返している。

 しかしこの人物、自分の地元へのバラマキは平気でしている。宮沢氏は、「ポストコロナの地方創生実現のための公共交通ネットワークの再構築を目指す議員連盟」の会長を務めている。そして、宮沢氏の地元・広島県にある1日13人しか乗らない大赤字路線(年間2億円超の赤字)を含めた鉄道網を、税金で支援させようとしている。

 財政健全化の政策で一貫しているならまだ筋が通るが、そうではない。地域を活性化する可能性や効果が極めて低いと思われるバラマキの旗振り役をしながら、負担は国民に押し付けという態度に疑問が残る。

 次の「増税日本代表」のメンバーは、岸田首相だろう。実は、岸田首相は前出の宮沢氏のいとこであり、同じ広島県を選挙区にしている。一心同体といっても過言ではない。

 岸田首相は昨秋の自民党総裁選挙で消費税に関して「10年程度は上げることを考えていない」と語っている。「財政再建の旗は降ろしてはならない」としつつも、「すぐに増税で財政を埋めることは考えていない」と明言していた。

 しかし、選挙前には増税で財政を埋めないと断言しておいて、起きようとしていることは増税ラッシュである。一国の首相には敬意をもって接したいとは思うし、人格は立派なのかもしれない。ただ、やっていることは二枚舌としかいいようがない。

 財政再建の旗を降ろさない、そして増税で財政を埋めないのであれば、やることは支出のカット以外にあり得ない。にもかかわらず、岸田首相がやっていることは中途半端なバラマキ政策である。一刻も早い退陣を望む。