彼らの視点、感覚が、一般の人に伝わり、見る者のサッカーIQが高まることを通じて、目の肥えたファンが増えれば、Jリーグなどの試合や選手に求めるレベルも上がり、将来的に優れた選手の養成にも役立つだろう。選手だけでなく、選手を見るファンや一般人のサッカーのレベルも、少しずつ欧州や南米に近づいていく。
だからこそ、そのためには、解説者も世代交代が必要だ。
状況の判断が適切にできず、個々の選手(要素)について知らず、最新の動向(技術)に対して不案内であるにもかかわらず、昔のイメージでもって戦術の良しあしを論じる者は去るべきであろう。解説が自分語り、サイドストーリー、美学(という名の旧来イメージへのこだわり)に安易に流れるようになるなら、その人はもう不要ということではないか。
また、実際には解説に対して求めるレベルが上がっている視聴者の実態を知らず、この程度の内容をあてがっておけば、視聴者は満足するだろうと考えている制作サイドの視聴者へのあなどりは、まわりまわって、サッカーのレベル向上や愛好者の人口の拡大を阻害し、ひいては自分たちの首を絞めるものではないか。
むろん、これはそのまま、ビジネスや組織を語るわれわれ著者や出版社にも、そして顧客や社員と対峙(たいじ)する会社の経営者にもまったく同じことがいえるわけだが――。
(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)