ビュッフェの店はさらに儲かるかも

 食べ放題の店には2種類あり、客が個別に料理を注文する方式と、店内に大皿料理などが並べられ、客が自分で好きなものを取って食べる方式がある。後者はビュッフェ方式と呼ばれている。こちらは、客にとっても欲しいものがすぐに食べられるなどの利点があるが、店にとっての利点もさらに大きいのである。

 まず、注文を取る必要がなく、できた料理を届ける必要もない。客が入店してすぐに食べ始めるので、客の回転が良いというメリットもあろう。店にとっては、客の滞在時間が短くなれば次の客を受け入れることができるし、客にとっても料理が出てくるまで待たされる時間がないことがメリットの一つだ。そのメリットから、再度来店する可能性も高まるかもしれない。

 シェフのメリットも大きい。注文を受けてから料理を一つずつ作るより、20人前を一度に作る方が効率的であるし、何よりも客の注文を受ける前から作り始めることができるのはメリットといえるだろう。普通のレストランではピーク時だけ超多忙で、それ以外の時間は暇だ、ということになりかねないが、ビュッフェスタイルであればそうした懸念と無縁でいられるからだ。

 材料面でのメリットもある。何が注文されるか不明だと、多種の材料を用意しておく必要があるが、ビュッフェスタイルであれば、何をどれだけ作るのかを事前に決められるので、材料の仕入れに無駄がない。

 また、少品種を大量に仕入れることになるので、仕入れの手間もかからないし、場合によっては「大量に買うから値引きしてほしい」といった交渉も可能かもしれない。

客が最大限メリットを得たいなら
元を取ろうと頑張らないこと

 ここまで、主に店のメリットを記してきたが、食べ放題の店に行く客の立場で考えてみよう。2人分の料金で3 人前を食べることができるならば、割安なのでお得であるが、問題は「元を取ろう」と無理して食べ過ぎてしまう場合だ。

 思ったほど食べられず、2人分にも達しない場合には、「このままでは帰れない」と頑張ってしまう人が多いだろうし、3人分食べたとしても、「無料なのだからあと1個食べないともったいない」などと考える人もいるだろう。

 しかし、ここで重要なことは、元を取るために入店したのではなく「好きなものを好きなだけ食べて幸せになるために入店したのだ」ということではないだろうか。したがって、満腹になったのに無理して食べて幸せ度を減らしてしまうようなことは避けるべきである。

 覚えておくべきことは、無理をして食べても食べなくても、入店時に支払った料金は戻ってこない、ということだ。どうせ払った料金が戻って来ないのであれば、料金のことは忘れて、 「今から自分が一番幸せになるためには、満腹になった所でやめておくべきか、それ以上に無理して食べるべきか」と冷静に考えてみるべきなのである

 本稿は、以上である。なお、本稿はわかりやすさを優先しているので、細部は必ずしも厳密ではない。