今後の相続税の申告・納税で
税務調査にならないよう注意すべきこと

 すでに相続税の申告を済ませた相続人はご存じのように、申告書には相続人全員のマイナンバーを記入することになっている。その際、本人確認としてマイナンバーカードの写しを提出することになっており、ない場合は、通知カードやマイナンバー入り住民票の写しなどに加えて運転免許証、パスポートなどの提出が求められる。

 マイナンバーを記載するということは、相続税申告に不備があった場合、税務署に金融機関の入出金をオンラインで調べられるということを、まず覚悟しておいたほうがいい。証券会社のマイナンバー登録義務や生命保険のマイナンバー連携もすでに始まっているから、こちらも事前調査の可能性がある。

 相続税申告に不備が起きやすいのは、専門家に相談や代行依頼をせずに「自分で申告した人」だ。こういう人は、逆に相続税が過払いになっているケースもあるが、税金を払い過ぎているからといって、税務署がわざわざ知らせてはくれない。

 相続税を払うべきなのに「無申告」なら、もちろん、税務調査の対象となる。相続税の申告・納税は相続発生から10カ月の期限内に行わねばならない。「所得の多い富裕層」「金融資産を多く相続した人」も税務調査に入られやすい。「名義預金」がある人は、特に要注意だ。

※口座の名義人と実際に口座に入金した人が異なる預金口座のこと。相続においては被相続人が配偶者や子ども・孫の名義で財産を残した口座を指す。

 相続税の時効は申告期限から5年とされているが、故意による申告漏れや脱税などの悪質な場合は時効が7年に延長された例もある。また、マイナンバーの普及によって事前調査もスピードアップされているから、5年の間には逃げ切れないということもあり得るかもしれない。マイナンバーの影響がどう表れるのか、今後の税務調査の行方を注視したい。