上層部の「ダブルスタンダード」、白い目で見られている

 その象徴が、TOKAIホールディングスだ。同社はSDGsを推進しており、その中の「ジェンダー平等を実現しよう」という目標に基づいて、「女性活躍推進」に力を入れている。そんな素晴らしい取り組みをしていますと世間に胸を張っていたその裏で、会社の保養所ではトップをはじめ幹部が、女性コンパニオンと混浴接待を繰り返していた。これを「ダブルスタンダード」と呼ばすしてなんと呼ぶのか。

「ジェンダー平等」とやらがこの国では所詮、建前的なスローガンにしか過ぎないという醜悪な現実を、これ以上ないほどわかりやすく浮かび上がらせているのだ。

 このようにビジネスの世界では、「接待と女性」というテーマを “なあなあ”で済ませてきた。だから、今回の「取引先への接待の余興で“コンパニオンとの混浴”を提供することは是が非か」という論戦も、いつまで経っても決着はつかない。

 いや、そんな泥試合の中で明らかな「敗者」がいた。それは、TOKAIホールディングスの取引先だ。今回、「混浴接待」が注目されたことで、鴇田氏らと保養施設へ行った取引先の経営幹部たちは、自分の会社の社員から白い目で見られているはずだ。

「うわっ、うちの社長や役員もコンパニオンと混浴して鼻の下伸ばしてたんだ…想像するだけで気持ち悪いんだけど」

 そんな陰口を叩かれているかもしれない。これは鴇田氏代理人も調査報告書の中でこう指摘している。

<この「混浴」が品位に欠く非行であるか、C1氏のみならず自ら参加した会社の役職者や会社にとってVIPである社会的地位のある方々も「品位を欠く行為」を行っていたということになる。このような主張を、当社全体の風評を勘案せず、安易に持ち出されること自体、取締役としての常識的なわきまえを欠く行為といわざるをえないのではないか>

 こういう「二次被害」を考えると今の時代、「コンパニオン接待」はかなりハイリスクだ。

「温泉宿で取引先を楽しませて契約取るぞ」なんて張り切っている企業は、ちょっと冷静に我が身を振り返った方がいいかもしれない。

(ノンフィクションライター 窪田順生)