今の日本で金利が急上昇したら
必ず、住宅価格が崩壊する

 まず、アメリカの状況をお話しすることから始めましょう。

 アメリカでは日本の逆で75%の人が高い固定金利を選びます。その理由は、法律でローンを借りる人に対して過去50年間の金利変動のチャートを見せることが義務付けられているからです。

 たとえば2021年のはじめくらいに住宅ローンを借りた人の場合、過去50年のチャートを見て「いまは3%の金利だけど、過去は10%の金利だったこともあるのか。そうなったら困るな」と考えるわけです。

 そして実際、2021年に変動金利で住宅ローンを借りた人は、今年の大幅な利上げで今では6%台と倍以上に変動金利が上がっているわけです。

 アメリカでは住宅ローン金利の上昇がリーマンショックを引き起こした反省から、このように変動金利のリスクを広く周知させる政策が生まれています。その結果、ある意味、住宅ローン破産をする人の数が抑えられているというメカニズムが存在しています。

 それと比較して日本の場合、ほとんどの住宅ローンの加入者は金利上昇リスクに対して脆弱(ぜいじゃく)です。特に2000年代以降に社会人になった人は一度も高金利を経験したことがなく、住宅ローンの支払い金利が6%になるとか8%になるという可能性は、極端な言い方をすれば想像すらできずに住宅を購入している人が多いわけです。

 そのような状況で金利が極端な形で上昇したら、どうなるのか?

 間違いなく住宅価格の崩壊が起きるでしょう。なぜなら、金利が払えずに物件を売却する人が激増するからです。1990年代の初めにバブル崩壊が起きた当時は、住宅ローン金利が8%台に上昇した直後にそれと同じような現象が起きました。その反省から日本の住宅ローン金利はそれ以降、ずっと低く抑えられてきたのです。