共産主義国ではなぜ
「宗教」が弾圧されるのか?

 仏教の本場は中国――。そんな印象をもっている人は多いのではないだろうか。

 日本に仏教が伝播したのは538年、中国から朝鮮半島を経て日本に伝えられた。さらに、遣隋使や遣唐使に同行した留学僧が中国で仏教を学び、日本にもち帰った歴史もある。

 しかしもとより仏教発祥の地は中国ではない。現在のインドで生まれた釈迦族の王子ゴータマ・シッダールタが出家し、悟りを開いてブッダとなり、教えを広めたものだ。中国でも信徒を増やし、そこから朝鮮半島や日本へ伝わっていった。

 さまざまな統計があるが、現代の中国国内に仏教徒は少ない。その割合は約10%とも20%ともいわれている。中国は仏教の本場ではないのだ。

 現在の中国では仏教徒のみならず、特定の宗教を信仰する割合は限られている。その理由は共産主義にほかならない。

「宗教は毒」
と切り捨てた毛沢東

 マルクスの共産主義思想は宗教に否定的な立場をとったことで知られる。マルクスの論文『ヘーゲル法哲学批判・序説』では、「宗教上の不幸は、ひとつには現実の不幸の表現であり、ひとつには現実の不幸に対する抗議である。宗教は悩める者のため息であり、心なき世界の心情であるとともに、精神なき状態の精神である。それは民衆のアヘンである」と述べている。つまり宗教は、民衆にあきらめと慰めを説き、現実の不幸を改革するために立ち上がることを妨げるというのである。