「就活課」が機能を拡充
キャリア設計支援機関に

 大学生の親(保護者)世代には、「就職課」という名称の方が馴染みが深いだろう。大学の校舎の隅にあって、求人票が張ってある事務室といったイメージだ。

 就職先の紹介が主な仕事だった就職課が、キャリアセンターに変わり始めたのは2000年代初頭のことだった。

 就職氷河期に苦しむ学生のため、就活ガイダンスや業界・企業研究、各種の就職セミナーの実施などにも業務を拡大。かつ、社会に出てからのキャリア設計を支援する部署へと変わった。

 また、11年には、大学設置基準の改正によって、キャリア教育の実施が全大学に義務付けられた。1年次からキャリア関連科目がカリキュラムに配置され、「大学生活の半分が就活」と言っても大げさではない状況だ。

有資格専門スタッフが
学生と企業の相性まで配慮

 当初は、大学の「就職予備校化」に批判的な教員も多かったようだが、今では「サポートの手厚さ」が大学選定基準の一つになり、多くの大学がキャリア支援の充実度を競うようになっている。

 航空・観光業界を目指す学生が多い大学では、エアラインの元キャビンアテンダントやホテルの実務経験者をサポートスタッフとして配置。スポーツ学部を設置する大学では、アスリート引退後の「第二のキャリア」を考えるプログラムなども用意している。

 各業界・企業の最新動向や、注意すべきブラック企業の情報も保有するほか、大学固有の学生の気質や志向、相性の良い業界、反対に、卒業生の少ない分野なども考慮。これらを総合して学生と企業をマッチングできるのが、キャリアセンターの強みだ。

 さまざまな業界で活躍する卒業生をネットワーク化し、大学とOB・OGが一体となって、後輩の就職活動を支援する大学もある。

「学内開催の合同企業説明会に参加するのは、スタッフが選んだ優良企業、かつ、この大学の学生が欲しい企業ばかりです。有名企業が集まる大規模な企業説明会だけに目が向くのは、すごくもったいない」(前出の私大スタッフ)

「キャリアコンサルタント」など専門の有資格者をそろえるキャリアセンターも少なくない。

 キャンパス内にあって、いつでも、無料(学費に含まれる)で専門家の支援が受けられるこれらのメリットを十分に活用しよう。

 ただし、いくらキャリアセンターが便利だからといって、“おんぶにだっこ”は避けよう。進路はあくまで自分で決めるもの。主体的に活用することが重要だ。また、親が子の就活に協力するのはいいことだが、キャリアセンターの担当者が「やりすぎだ」と感じるケースもある。「これは困った!」という事例として、以下の声が挙がった(下図参照)。