「ニューヨークの迎賓館」が中国政府管理下へ
1893年創業のこの老舗ホテルは、次第に老朽化が進み経営が低迷していきました。2014年には中国の保険会社(安邦保険集団)が約19.5億ドルという高額で、運営元であるヒルトンから買収しました。約130年前から存在する「ニューヨークの迎賓館」は中国企業の所有となり、2015年アメリカ合衆国国務省は防諜の危険を理由に以後いっさい利用しなくなりました。当時のオバマ大統領も宿泊を停止し、42階のスイートルームを借り上げていた米国連大使公邸も同様に退去することとなりました。中国政府は2018年2月に安邦保険を公的管理下に置き、その結果ウォルドルフ・アストリアも中国政府の管理下に置かれることになりました。
2017年からは高層階を富裕層向け住居とするために10億ドルをかけて改装工事中となり、低層階も再設計を経て改装を進めています。高層階、低層階ともに2023年再開予定となっています。
創業以来、時代に翻弄されているウォルドルフ・アストリアですが、中国政府管理下において、ルーズベルト大統領の地下の秘密通路や、放置されたままのディーゼル機関車をどうするのか、気になってしまいますね。
住所 301 Park Ave, New York, NY 10022
公式サイト https://www.waldorftowers.nyc/ja/hotel
まとめ
ニューヨークのクラシック・ホテル、ザ・カーライルとウォルドルフ・アストリアの歴史とエピソードをご紹介しました。老舗ホテルなだけあってたくさんの逸話が残っており、一度は泊まってみたいと思われた方もいるのではないでしょうか。こちらの2つの一流ホテル、時期にもよりますが、値段も一流です。最低でも一泊10万円前後、セレブが泊まるような部屋だと一泊100万円以上は覚悟しなければなりません。
ニューヨークが日々姿を変えていくのと同様に、ホテルも姿を変え、または消え、そして新しく生まれています。そんな中でも、有名人が愛したホテルが現存している間に、一生に一度は訪れてみたいと願うものです。
全面改修工事中の超高級ホテル、ウォルドルフ・アストリア「1億円超の完成予想模型」を全公開 ビジネスインサイダージャパン:https://www.businessinsider.jp/post-235565
The Incredible Secrets Inside the Walls of the Waldorf Astoria:https://www.bloomberg.com/news/articles/2016-09-06/secrets-of-the-waldorf-astoria-presidential-tunnels-red-velvet-cake
アメリカはいかにしてポリオとの闘いに勝利したか アメリカ大使館公式マガジン:https://amview.japan.usembassy.gov/how-america-beat-polio/
HISTORY Waldorf Astoria New York:https://www.waldorftowers.nyc/en/history
米ヒルトン、NYの高級ホテルを中国企業に売却へ 19.5億ドル ロイター:https://www.reuters.com/article/hilton-sell-us-luxury-hotel-to-china-idJPKCN0HV1E520141006
The Never-Ending Glamour of the Carlyle Hotel The wall street journal:https://www.wsj.com/articles/SB10001424127887324591204579037132404227044
Our Story THE CARLYLE, A ROSEWOOD HOTEL:https://www.rosewoodhotels.com/en/the-carlyle-new-york/overview/our-story
Palace of Secrets Receives Suitors, Quite Discreetly; Carlyle Hotel Regulars Hope Sale Will Not Bring Changes The New York Times:https://www.nytimes.com/2000/06/23/nyregion/palace-secrets-receives-suitors-quite-discreetly-carlyle-hotel-regulars-hope.html
※本記事は『地球の歩き方』からの転載記事です。