【トレンド3】リスキリングもジョブ型も掛け声倒れ?
さて昨今大騒ぎのリスキリングである。主にはデータサイエンスやAIの領域の再教育であり、やったほうがよいに決まっている。しかし、英語学習と同じことが予想される。せっかく勉強しても普段から使わなければ、まったく身に付かないし、少し勉強してTOEIC800点のレベルになったとしても、そのレベルでは危なっかしくて通訳なしで重要な仕事を任せることなどできない。
リスキリングも同じである。会社がデータ駆動型のビジネスに大きくかじを切り、全員がその方向で仕事をしないのであれば、さわりを学習した“お勉強”で終わってしまうだろう。ちょっとかじったくらいで利いたふうなことを言ったり、わかったつもりになって事業をいじったりするのが一番危ないのである。生兵法は大けがのもとだ。
お金持ちの会社は、それでも社員のリスキリングを進めるだろうが、普通の会社では費用対効果を考えればとてもそちらには進めない。会社のマジョリティーを占める40代以上の世代も、あと10年もすれば役職定年になるのだから、新たに自分に対して投資しても、大きなリターンは見込めない(その意味では、リスキリングと各種の定年制度の改変はセットで行う必要がある)。
また、ジョブ型雇用も、海外拠点が多く全世界レベルで人材交流を進める必要性のあるグローバルカンパニー以外は、採用したほうがメリットが生まれるという段階にはまだない。影響力の大きな複数の超大企業が本格的にジョブ型雇用にシフトし、新卒採用の時点から職務限定で採用を行うようなことをしない限り、本格的な転換のムーブメントは起こらないだろう。