さらに言うと、子どもは親を選べません。金持ちの家の子だろうが貧乏な家の子だろうが、子どもは子どもです。

 親の収入のせいで支援の対象外になる子もいれば、「親が申請しなかった」「連絡がつかなかった」せいで、逆に貧困家庭の子どもに支援が届かないケースだってあります。どんな子どもにも支援の手が届くようにするためにも、はじめから「所得制限なし」「対象はすべての子ども」にしておくことは必須です。

目先の話ではなく、
未来のために

「子どもの未来」は「社会の未来」そのものです。

 人は老いていき、いつか子どもたちがまちの未来をつくります。子どもを応援することは、私たち自身の未来を応援することでもあるのです。

 自分たちのまちが「暮らし続けられるまち」であるために、未来を担う子どもたちを今の社会のみんなで応援する。みんなの税金で、まちのみんなで、すべての子どもを応援する。当然のことです。「子育て世代だけ優遇しやがって」みたいな目先の話ではありません。子ども施策は、みんなに必要な施策、ある意味「未来施策」なのです。

 明石市はあれもこれも、幅広く子ども施策を展開していますが、「救貧施策」と「未来施策」は分けて考えています。

 救貧施策は、どこのまちでも実施しています。

 支援が必要な一定の対象に、個別にスピード対応する。身近な基礎自治体が個々の事情に応じて寄り添う。現金給付も有効な手段です。

 一方の未来施策は、社会全体で次世代を育み、未来につなげるベーシックな子育てサービスです。

 明石市は「5つの無料化」を、まさに「未来施策」として実施してきました。だから現金を配るのでなく、サービスへの追加費用負担をなくして、所得制限も設けず「すべての子ども」を対象としています。現金バラマキ施策とは、そもそも根本の理念が異なるのです