鮮明化する中国経済回復への期待
足元、中国の株価は上昇し、世界的に見ても上昇率は高い。2023年初から1月20日までの主要インデックスの変化率を確認すると、MSCIオール・カントリー・インデックス(世界全体の平均的な株価の推移を示す代表的なインデックス)は5.1%上昇した。米国のS&P500指数の上昇率は約3.5%だった。
一方、香港ハンセン指数は約11.4%上昇し、本土市場で深セン総合指数は7.6%上昇した。直近の経済成長率の推移などを見ると、中国経済のファンダメンタルズは米国よりも不安定だ。にもかかわらず株価が上昇しているということは、先行きを楽観する投資家が増えているといえる。人民元も対ドルで上昇した。
他方、物価が高騰し、インフレ鎮静化のための利上げによって景気への懸念が高まるユーロ圏では、自動車など中国経済との関係が深いドイツの株価上昇が顕著だ。
原油、銅、鉄鉱石など商品市況の上昇ペースもより強まった。その中でも、原油価格の上昇は鮮明だ。1月18日、ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物価格は一時、82ドル/バレルを回復した。銅など工業用金属の価格も上昇し、リオティントやBHPビリトンなど資源メジャーの株価も勢いづいた。
資源価格の上昇は、資源国の通貨の為替レートにも影響している。不安定な動きを伴いつつ、政治・経済の先行き不透明感の高まるブラジル・レアルは対ドルで上昇した場面があった。インフレ鎮静化のための利上げによって住宅市場や個人消費を中心に景気減速が懸念されるオーストラリア・ドルも対ドルで上昇した。また、ニュージーランド・ドルのように、中央銀行が物価高騰を抑えるために景気後退は避けられないとの認識を示した通貨も買われた。貿易、投資などの面でニュージーランドと中国の関係は強い。