「特定興行入場券」の「不正転売」とは?
実は、この法律はあらゆるチケットの不正転売を禁止する法律ではありません。法律が定めた「特定興行入場券」の不正転売がNGなのです。では、どんなチケットが「特定興行入場券」なのでしょうか?
●特定興行入場券
まず、日本で行われるアイドルやアーティストのライブ、スポーツといったイベント(興行)に、それを提示することで入場できるチケットであって、不特定又は多数の人に販売されていることが前提です。二次元バーコードなどの電子チケットも含みます。
ですから、例えば新幹線の乗車券などは、興行ではないのでこれに含まれず、招待券なども、不特定多数に対して販売されていないので、含まれません。
なおかつ、下の図のような3つの条件を満たすチケットのことを「特定興行入場券」といいます。
では、罰金刑や懲役刑となる可能性がある「不正転売」とは、どんな行為なのでしょうか。
●不正転売
不正転売とは、特定興行入場券を、(1)イベント主催者の事前の同意を得ずに、(2)定価を超える金額で、(3)反復継続する意思をもって販売することです。
定価を超える金額での販売はNGです。しかし、大人気のアーティストやアイドルのライブで、しかもいい座席のチケットは、定価の何倍もの金額で転売されることは、残念ながら珍しくありません。ファンの弱みに付け込んで、高額で転売し、利益を得ようとする不届き者がいるのです。このようなことを繰り返し継続して行う意思があったと認められると、罰金や懲役又はその両方が科されるのです。
チケットの不正転売が禁止な理由
そもそもなぜチケットの不正転売が禁止されているのでしょう。法律を定めた目的は、次のように記載されています。
チケット不正転売禁止法(目的)
第1条 この法律は、特定興行入場券の不正転売を禁止するとともに、その防止等に関する措置等を定めることにより、興行入場券の適正な流通を確保し、もって興行の振興を通じた文化及びスポーツの振興並びに国民の消費生活の安定に寄与するとともに、心豊かな国民生活の実現に資することを目的とする。