米国におけるアプリのダウンロード数で
SHEINがアマゾンを抜いて1位に

 手頃な価格のトレンドアイテムが次々に登場するSHEINは、アメリカではZ世代に広く認知されている。

 日本においても、サイバーエージェント次世代生活研究所が発表した「2022年Z世代ヒットトレンドランキング」のファッション・メイク部門の1位に「SHEIN」が、SHIBUYA109 lab.が発表した「SHIBUYA109 lab.トレンド大賞2022」の体験部門1位に「#SHEIN購入品」がランクインするなど、若い世代から支持を集めていることが分かる。

「#SHEIN購入品」は、SNSで使われるハッシュタグだ。実際にInstagramやTikTokで「#SHEIN購入品」と検索してみると、「生地が薄くてインナーが透ける……」「カバンの内側にポケットがあるから使いやすい」など、購入者のレビューが散見された。

 ネットショッピングだと実物を手にとってから購入することができないため、購入者の口コミを調べて買い物の参考にするのだろう。このようにSNS上で行われる情報のシェアは、ECでも商品を購入しやすくする一因となっている。

「コロナ禍で若い世代に限らずネットで衣服を購入する行為が定着しました。SHEINはアメリカにおいて、アプリのダウンロード数でアマゾンを抜いて1位になりましたが、それは2021年5月の出来事です。2020年から始まったコロナ禍が成長の追い風になった結果でしょう。時流を捉えられたことが、SHEINが成功した理由の一つだと思います」

 新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた頃、勢いを増し始めたSHEIN。本格的に日本に進出したのは2021年で、昨年3月にはティーン向けの大型ファッションフェス「東京ガールズコレクション 2022 S/S」に初出展している。

 その後、10月に期間限定のポップアップストアが大阪・心斎橋に、11月には常設店が東京・原宿にオープンした。両店舗とも商品の購入はできないが、オンライン販売では難しかった購入前の試着を可能にしている。ECならではの「試着ができない」という弱点をカバーするオフラインの活用は画期的だが、展開する150以上の国と地域のなかで実店舗が存在する国は珍しいという。

「SHEINは、国によってマーケティングを変えています。『話題になっている』と印象づけるために、それぞれの国で最適な手法を選んでいるのです。アメリカではメディアよりインフルエンサーに頼むほうがいいですし、反対に、インフルエンサーよりもメディアへの信頼度が高い日本は、メディアが取り上げやすいような展開をしていきます。東京ガールズコレクションとのコラボや実店舗の出展は、日本向けのマーケティングと言えるのです」