2番目はオリンパスが祖業の顕微鏡など「科学事業」を米投資ファンドのベインキャピタルに約4276億円で譲渡する案件。ベインキャピタルは2021年にも日立金属を約8100億円で買収すると発表していた(完了は2022年10月)。製造業の取引総額では2年連続でトップとなり、存在感を示している。

 3番目は横浜ゴムがスウェーデンの農業機械用タイヤメーカー「トレルボルグ」を約2672億円で子会社化する案件。横浜ゴムは2021年に自動車・建築用シーリング材やウレタン防水材などで構成する「ハマタイト事業」を、スイス化学メーカーSika AGの日本、米国、中国、タイにある4子会社に売却したが、2022年は「買い」に回った。

 急激な円安で製造業の経営環境は激変している。2022年は関西ペイントがアフリカの塗料子会社2社をオランダ化学大手アクゾノーベルに譲渡、三井化学がフェノール事業のシンガポール子会社を英INEOSに譲渡するなど海外生産子会社の整理が本格化した。

 2023年も同様の動きが加速する一方、国内企業の買収で製造業の国内回帰が進む可能性もある。ただ、2022年末には急激な円安は沈静化しており、再び円高に振れることがあれば製造業の国内回帰の流れは止まる。為替相場の影響が大きい製造業だけに、2023年のM&Aを左右する要因として注目すべきだろう。

2022年製造業のM&A件数は2年連続の増加、クロスボーダー取引に大型案件集中