2022年製造業のM&A件数は2年連続の増加、クロスボーダー取引に大型案件集中

2022年の製造業を対象にしたM&Aは、件数が2021年比4.3%増の216件(前年は207件)で、2年連続の増加となった。一方、取引総額は同26.4%減の約2兆6018億円(前年は約3兆5382億円)で2年連続の減少に。国内M&A市場全体が成長する中、件数こそ過去10年で2016年(223件)、2017年(218件)に次ぐ3番目だったが、取引総額は下から3番目と振るわなかった。(M&A Online編集部)

 件数増加にもかかわらず、取引総額が20%を超える大幅減となったのは、大型案件の減少が大きかった。2022年に最も取引総額が大きかった武田薬品工業の米ラクシュミ買収も、2021年であれば3位にすぎない。1000億円超の大型案件は4件と、2021年(8件)の半分に。ウィズコロナの流れは見えてきたものの、輸出先となる欧米先進国では急激なインフレが進み、日本でも物価上昇が著しい。景気の先行き不透明感が増したことから、国内製造業がM&Aに慎重になった可能性がありそうだ。

 クロスボーダー取引は69件と、製造業全体の31.9%を占めている。日本企業による外国企業の買収(IN-OUT案件)は34件、外国企業による日本企業の買収(OUT-IN案件)は35件だった。取引総額上位10件のうち9件がクロスボーダーM&Aで、外国企業絡みのM&Aが高額となる傾向が続いている。このまま円安が定着すれば、外国企業にとって買収価格が割安になるうえ、日本からの輸出には有利なこともあり、外国企業による日本の製造業のM&Aが加速する可能性が高い。

為替相場の影響が大きい製造業
急激な円安で経営環境は激変

 最も取引総額が大きかったのは、武田薬品工業が米国の創薬企業ニンバス・セラピューティクス(ボストン)の子会社ラクシュミ(同)の全株式を40億ドル(約5485億円)で買収する案件。2023年3月31日までに買収完了を見込む。同社は皮膚病の乾癬(かんせん)や炎症性腸疾患といった免疫疾患に有効性が期待される新薬候補(パイプライン)を持つ。

 ラクシュミは「NDI-034858」という技術に基づく経口阻害薬開発プログラムに取り組んでいる。新薬開発が成功して売上高が40億ドルと50億ドルを超えた場合には、武田が追加でそれぞれにつき10億ドル(約1370億円)の対価をニンバスに支払う。武田は2019年に6兆2000億円を投じてアイルランド製薬大手のシャイアーを買収したが、これ以来の大型M&Aとなる。