今、「学校に行かない子どもたち」が、とても増えています。小・中学校の長期欠席者は41万人(うち不登校が24万5000人・令和3年度)にのぼり、過去最高を更新しています。本連載では、20年にわたり、学校の外から教育支援を続け、コロナ禍以降はメタバースを活用した不登校支援も注目される認定NPO法人「カタリバ」の代表理事、今村久美氏の初著書「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」から、不登校を理解し、子どもたちに伴走するためのヒントを、ピックアップしてご紹介していきます。「不登校」という事象について考えるときに、本人へのケアという個人に着目した視点と、教育環境との相性や教育制度など、個人を苦しめている社会の側に視点をおいた考え方など、幾つかの視点があります。ここでは個人に着目した考え方の一つを本書から紹介します。

不登校の原因になりがちな2つの身体症状Photo: Adobe Stock

起立性調節障がいや過敏性腸症候群の場合も

 不登校の初期には、P54にも書いたように、腹痛や頭痛などの身体症状が現れることも多いものです。

 子どもが自分から「おなかが痛い」「頭が痛い」と言い出すのは、本当にそう感じているからでしょう。たとえ、学校に行く時以外はケロリとしていたとしても「仮病かも?」などと思わず、まずは休ませてあげること。

 いつもより少し時間をかけて向き合いながら、本人が話したくなるまで根気よく待つ、ということも大切だと思います。

 症状が長引く場合、次のようなケースもあります。

 たとえば、起立性調節障がいは、思春期の子どもたちによく見られる自律神経機能不全の一種です。朝起きられず、失神、倦怠感、動悸、頭痛などの症状が午前中に出ることが多く、重症化すると長期的に学校に行けなくなってしまいます。

 数ヵ月にわたって腹痛や下痢、便秘を繰り返すのが、過敏性腸症候群です。学校に行こうと思うとおなかが痛くなる、家を出たのにおなかが痛くて戻ってくる……といったところから、不登校になることがあります。

 ただし、こうした身体の問題が不登校の直接の原因になっていたとしても、その症状が出る原因のひとつにはストレスが考えられます。実際のところ根本的な原因を見極めるのは難しいところでしょう。

 不調が続くなら、早めに医療機関を受診しましょう。

 何科にかかればいいのか、どのような点に注意すればいいのかなど、本書にまとめています。ぜひ、ご参考にしてください。

 *本記事は、「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」から抜粋・編集したものです。