金融DX大戦#3Photo:SOPA Images/gettyimages

システムのクラウド化によるビジネスモデルの変革機運が高まる地方銀行業界。しかし地銀は「システム三重苦」に直面しており、実際には改革に二の足を踏むことも多い。特集『金融DX大戦』(全22回)の#3では、地銀を悩ませるシステム三重苦の正体と、その克服のため、大手クラウドベンダーであるアマゾン ウェブ サービス ジャパンや日本マイクロソフトが打つ一手に迫る。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

地銀の改革に二の足を踏ませる
「システム三重苦」の難儀

 3歩進んで、2歩下がる――。

 企業の資金繰りに対する政府の新型コロナウイルス対策を追い風に融資の利息収入が拡大するなど、2022年3月期はおおむね堅調に業績を伸ばした地方銀行業界。しかし、地銀にとって昨年は、「ある悩み」が一層増した一年だったかもしれない。ずばり、システム改革に関する悩みだ。

 人口減少や地方経済の地盤沈下に直面する地銀において、ビジネスモデルの変革は今後を生き抜くための必須条件だ。その条件をクリアするに当たり、システムの見直しはもはや避けて通れない。

 銀行はあらゆる金融サービスを管理し、顧客情報を蓄積するシステムについて巨額コストを投じて維持している。だが、現行のシステムの“礎”ができて数十年。その間、多くの勘定系システム(預金などをつかさどる基幹業務システム)は肥大化・複雑化の一途をたどり、莫大な維持コストがかかる割に使い勝手の悪い巨大なレガシーとなった。

 それでも、システム改革に二の足を踏む地銀は多い。

 特に昨年は、みずほ銀行のシステム障害と、北國銀行(石川県)の勘定系システムのクラウド化という、銀行システムに関する“二大事件”が勃発した。北國銀の取り組みに触発され、「システム改革を急ぐ地銀が増えた」(IT大手幹部)一方で、みずほ銀の障害により、システム改革にブレーキをかける動きが出たのもまた事実。まさに一進一退だ。

 それにしても、地銀が他行のシステム事件に一喜一憂するのはなぜなのか。背景には、地銀が直面する「システム三重苦」がある。

 次ページではシステム三重苦の正体と、その克服のために米アマゾン・ドット・コムの「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」、米マイクロソフトの「Microsoft Azure」、米グーグルの「Google Cloud」というクラウド大手で展開される一手に迫る。