変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)で、IGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏だ。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていく時代。これからは、組織に依存するのではなく、一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルにならざるを得ない。同書から抜粋している本連載の書下ろし特別編をお届けする。

「何歳になっても老け込まない人」の時間の使い方の特徴とは?Photo: Adobe Stock

いつも時間に追われていると、若くして老け込んでしまう

 日本人の平均寿命は80歳を超え、人生100年時代とも言われています。日本は長寿国として、世界からも注目を集めています。

 驚異的なことに、80歳を超えても精力的に会社経営や趣味に勤しんで、生き生きとしている人たちがたくさんいます。そして、そのような人たちは年齢不相応に外見も若々しさを保っています。

 一方で、30代後半であっても老け込み、考え方も後ろ向きになってしまっているなど、若くして老け込んでしまう人たちもいます。

 では、何歳になっても老け込まない人にはどのような特徴があるのでしょうか。そのような人たちは、未来の時間を主体的にコントロールしているという特徴があります。

 逆に、若くして老け込んでしまう人は、いつも時間に追われています。そして、過ぎていった時間を振り返っては、後悔します。

落ち着いたらやろう、では一生できない

 皆さんは、「仕事が落ち着いたらヨーロッパ周遊旅行に行きたい」「子育てが終わったらタイに移住したい」などと思ったことはありませんか。

 もしくは、職場で「国内事業に目処がついたら海外展開を検討しよう」「今のプロジェクトが落ち着いたら体制の整備をしよう」などと言っていませんか。

 もちろん、本当に落ち着いて、やりたいことができることもあるでしょう。しかし、多くの場合、落ち着いたらやろう、と何となく思っていてもうまくいきません。

 なぜならば、自分がどのように思っていても、周りの環境はどんどん変化していくからです。

 子育てが終わる頃には、タイの物価が日本よりも高くなっていて、手が出なくなっているかもしれません。今のプロジェクトが終わったと思ったらトラブル処理に巻き込まれて、新しいことに挑戦する余裕がなくなっているかもしれません。

重要度の高いイベントはカレンダーに書き込む

 では、時間に追われないためにはどうすれば良いのでしょうか。

 そのためには、重要度の高いイベントをカレンダーに書き込むことが効果的です。この際のポイントは、仕事とプライベートを分けて考えないということです。

 仕事との兼ね合いでヨーロッパ周遊旅行へ1回で行くことが難しいのであれば、2回に分ければ休みを取れるかもしれません。休みが取れることが分かったら、それが半年先や1年先であっても、有休申請をしてカレンダーに書き込みましょう。あらかじめ分かっていれば、周りに迷惑をかけることもありません。

 若手が育ってきたら、景気が回復したら、サービスの人気度が上がったらなどと考えていると、ビジネスチャンスを逸してしまいます。プライベートでも、仕事が落ち着いたら、子どもが育ったら、暖かくなったら、お金が貯まったらなどと待っていても、一生実現しません。

 重要度の高いイベントをカレンダーに書き込むことで、自らの人生の時間をコントロールしましょう。そうすることで前向きになれば、老け込むこともないでしょう。

アジャイル仕事術』では、人生100年時代を楽しく生き抜くための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。