■よくあるクライシス2
英語ができる帰国子女についていけない

 忘れていけないのは、英語がペラペラの帰国子女を羨ましがっても、それはその子たちの一面にすぎない、ということ。優位性の裏には何かしらネガティブな要素があり、どの子もだいたい人生のどこかで苦労したり、努力を重ねたりしているものです。そうした影の部分が表には見えないだけです。

 帰国子女は英語が武器となって、大学受験はうまくいきやすいのですが、言語を「深く」あやつれず、これに伴い、思考も深まらないという子も中にはいます。帰国子女に限らず思考が浅い子は、大人になってから何かを達成したり、面白い人生を送ったりしているかというと、あまりそうではないというのも、経験から感じています。親も子も物事の一面だけを見ないようにしましょう。

■よくあるクライシス3
お金持ちの友達についていけない

「よそはよそ。うちはうち!」

 とは、よく関西のオカンが言うらしいですが、ご多分にもれず、うちのオカンも言っていました(笑)。

 僕は中学に入った時点でお小遣い月1000円。お父さんが大学教授だった同級生は1万円だったのですが、それを知った時は、世の中にそんなお小遣いの額があるのかと衝撃でした。しかし比べるから不幸になるのであって、それまではなんの不満もなかったわけです。

 親としては譲る必要は全くありません。

 少ないお小遣いもまた、その子に配られたカードの一つ。そこからどうしていくか、自分で考えて工夫していけます。僕はお金持ちの子に負けないと決めてテストも頑張りましたし、ジュースは買わず水で済ませて、GLAYのCDも買いました。それでもさすがにキツくて、親には、「定期テストで学年トップ10に入ったら500円ずつ上げてもらいたい」と交渉をして、最終的には高3で4500円をもらっていました。

 僕は大学卒業後、20代後半であまりに貧乏で死にかけたこともあるのですが、「やりくりする」ことは自然に身についていたので、気持ちも腐らずに、ここまでやってこられたのです。

 人生、何が幸いするかわからないもの。それもまた、お子さんに伝えてほしいことの一つです。