品性が試される時その1
「支払うのは誰か」に敏感であれ

 さて、今夜は面白いメンバーが揃う会食に出かけるとします。場所はなかなか予約が取れない高級日本料理店。そこで「わーい、楽しみー」と無邪気に浮かれているだけなら未熟者のそしりを免(まぬか)れないでしょう。成熟した大人の心得として、「支払うのは誰か」という問題に敏感であるのは当然のことです。

 友人・知人同士で明らかにワリカンという場合――現金で細かくワリカンというのはみっともないのでやめるべきだと思いますが――は問題ありません。気をつかわなければいけないのは、メンバー間に何らかの力関係が働いている時です。

 まず支払いの基本ルールとして、求められて来た側が正客として奢られて、来ることを求めた側が支払うということがあると思います。しかし、その応用編のルールもあるから、事態はややこしいのです。

 たとえば、こんなことがありました。私がお呼ばれして3人でやるはずだった会食に、芸能人A氏が会いたがっていた人がいるので、A氏を誘ってお連れしたケース。A氏を紹介された2人も大喜びでしたが、A氏は私の知り合いですから、その会食の支払いは合計を2で割った分を私が支払いました。友人や知人を連れて行ったら、自分が支払いを持つのが当然だからです。もう1つの方法としては、「じゃあ、二次会をお支払いさせてくださいな」というやり方もありますね。――いずれにしても「誰がどのように支払うのか」ということは常に頭を悩ます、非常にナーバスな問題なのです。

 明らかにその日の会計を支払ってくれそうな人がいる場合は、お酒の持ち込みが可能なお店であれば、ワインを持参するという手を使うこともあります。ただ、相手が相当なお金持ちだったり、超高級店だったりすると、持参するワインの格も求められますから非常に難易度が高い。若い人であれば、前述のように自筆のお礼状をお送りすれば十分です。

 支払ってもらうことが明らかな会食の当日、先回りしてお礼の品を持って行くのも、スマートな方法だと思います。ほんのちょっとした“気持ちばかりの品”でいいのですが、支払う人にだけ渡すのも露骨なので、全員分を用意して帰りぎわに皆に渡すようにするのがいいでしょう。