『ピクミン』とは「段取りの良さ」を
突き詰めるゲームだ!

『ピクミン』のゲームジャンルは、公式では“AIアクション”という耳になじみのないものである。公式以外からは「リアルタイムストラテジー」と称されることもあるらしい。

 ピクミンという小さい生き物に指示を飛ばして、ステージごとに、果物などを運んで回収したり、原生生物と呼ばれる生き物を倒したりするというのが、大まかなゲームの内容だ。
 
 筆者もかれこれもう40年近くゲームをやってきたが『ピクミン』のような内容のゲームは珍しい。ゲーム内でも「ダンドリ」という言葉が用いられているが、プレイ中、常に問われるのは「どう段取るか」という判断である。ピクミンを増やせば、果物を運ぶ時間や敵を倒す時間が短縮され、各所で作業を分担させることができる。「この5匹はこの果物を運ばせて、残りの10匹であの敵をやっつけよう」という具合である。
 
 しかしピクミンを増やすにはひと手間が必要で、また増やしすぎると管理が難しくなる。どのタイミングでどれくらい増やすか、その塩梅の見極めが肝要である。
 
 ピクミンたちの作業ルートの確保も課題である。橋を架ける・道を遮っている壁を壊すなどすれば、新しいルートが開けて運搬に要する時間を大幅に短縮できるが、「橋を架ける・壁を壊す」もピクミンたちによって行う。あそこの橋の建設はいつ、どれくらいの数のピクミンを割り当てて着手するか……などなど、プレイヤーはステージクリアに向けて、無数の判断を連続的に迫られる。つまりは「ダンドリ」であり、『ピクミン』は段取りゲームなのである。