もう一つは、マンションの新規供給量がかなり少なくなっていることだ。

 分譲戸建てが首都圏で年間6万戸水準を維持しているのに対して、分譲マンションの供給量はその半分程度である。以前は10万戸近い水準だったが、今ではその3分の1ほどに減少している。ゆえに、マンションは需給がひっ迫しやすく、成約数の減少が表面化しづらい状況だった。

「全国旅行支援」開始で
家探しの機運は低下

 そうした中、マンションの需要を決定的に冷え込ませたのが、22年10月11日に始まった全国旅行支援だ。

 平日勤務の働き手が家を探すタイミングは、やはり休みである土日に集中する。コロナ禍では外出自粛を求められ、飲食店・宿泊施設・レジャー施設などはすべて閉鎖に近い状態だった。休日に家族がやることがなかったからこそ、家探しは特需を生んだのだ。

 それが、この日から外出奨励に180度転換した。旅行以外にも多くの外出先が本格的に営業を始め、はばかることなく集客できるようになった。これまでの鬱憤もあり、一般消費者の家探しの優先順位は落ちてしまったのだ。

 コロナ特需が終わった要因はそれだけではない。マンションの売れ行きが落ちている最大の理由は、価格が高いことに起因する。

 マンション市場には、価格が1割上がると、供給戸数が1割減る逆相関の関係がある。アベノミクス以降、金融緩和によって一本調子で値上がりしてきたマンション単価は、コロナ特需でその上昇スピードを速めた。

 筆者が経営するスタイルアクトでは、首都圏と近畿圏のすべての新築マンションの適正価格(以降、「沖式新築時価」)を、そのマンション周辺の中古成約事例を基に査定。「住まいサーフィン」という無料会員制サイトで情報提供している。

 その査定結果(沖式新築時価)を、実際の販売価格と比べると、マンション価格の上昇度がどれほど急かを知ることができる。

 13~19年における実際の販売価格は、沖式新築時価より平均して6%高かった。この6%は許容範囲になる。新築マンションは竣工前に売り出され、購入者がその1年後ぐらいに入居するケースが多い。金融緩和の影響で、その1年間で価格が6%ほど上がるのは想定できる話だからだ。