しかし、コロナ禍に突入してからの3年間、実際の販売価格は沖式新築時価より平均13%高い。中には40~50%高いものまである。
さすがにこれは高く、購入したら含み損を抱えることになる。新築マンション価格は危険水域に突入しているので、ババ抜き状態にある。購入後に値下がりし、売った際に損をする物件が、ジョーカーのように紛れ込んでいる。
だが、コロナ特需が落ち着き、マンションの売れ行きが悪化しようが、今後も物件価格が上昇することは既定路線だといえる。
不動産デベロッパーが、現在新築で売られている物件の用地を仕込んだのは2年ほど前になる。この2年間で、用地価格は高騰し、建築単価も高止まりしている。その状況下で各社が利益を得るには、売値をさらに高く設定する必要があるからだ。
それと同様に、日本銀行が金融緩和策を転換するなどの“大事件”が起きない限り、2年後のマンション価格が今よりもずっと高いことは「確定している」と言っても過言ではない。
ただし、例外になりそうな物件もある。
首都圏の一部では
新築マンションの立地悪化が加速
22年から顕著になった傾向なのだが、実は今、首都圏では新築マンションの立地悪化が進んでいる。都区部の割合は下がり続け、3割台まで落ち込んでいる。駅から遠かったり、マイナーな路線や駅に立っていたりする物件も増えている。
立地が悪ければ、中古になって売る際にも引き合いが少なく、価格が落ちやすい。資産性がない物件を高値づかみするのは、最も大損リスクが高いことは言うまでもない。
コロナ禍の落ち着きによって需要が減退する中、価格は高くなり続け、立地は悪化している。こうなると、新築の売れ行きが悪くなるのは当然の帰結になる。
中古物件も、コロナ特需で在庫が減少していた頃は、取り柄の少ない物件でも買い付けが入った。だが、今は状況が変わっている。22年夏ごろから在庫が急増し、コロナ前の水準に急速に近づいているのだ。物件が売れにくい状態は中古も同じだ。
一般消費者にとって、この状況はチャンスだという見方もできる。マンションの売れ行きが悪くなるのは、売る側には地獄だが、買う側には天国だ。
特に資金力がある層にとっては、たくさんの物件から選び放題で、競合する買い手が少ない。優良物件を選ぶ上で、絶好の機会が約3年ぶりに到来したともいえる。
最後に、その際の買い方を伝授しておこう。