ポイントプログラムは会員規定によって本人の死亡とともに消滅する場合もあるが、マイレージ、QR(バーコード)決済や交通機関などの電子マネーに残高があれば「プラスのデジタル遺産」となる。一方、サブスクやアプリ課金は未納金があれば「マイナスのデジタル遺産」に含まれる。

実はデジタル資産の明確な定義や特別法はまだない

 それでは、デジタル資産の範ちゅうはどう決められているのか、そもそもデジタル資産とは何を指すのか?との疑問が湧く。実は、デジタル資産の指針となる明確な定義や特別な法律は、まだ定められていないのである。デジタル先進国の米国でさえ、デジタル改正法案が議論されている最中だ。

 一言で表すなら、抽象的ではあるが、デジタル資産とは「ネットワーク上に存在する無形の資産」を指す。一般法(憲法・民法など)に照らし合わせて考えれば、以下の2種類に大別できるだろう。

(1)ネット銀行の預貯金、ネット証券の有価証券、暗号資産といった財産的価値を有するもの
(2)PC・スマホなどを通じてアプリやクラウド内に保存されたデータ、個人のSNSアカウントなどの財産的価値を有さないもの

 民法第896条には「相続人は、(中略)被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、その限りではない」とあるので、(1)は以前からの預貯金や不動産といった資産同様、相続財産とみなされる。(2)は必ずしも相続人に引き継がれるとは限らない。