発祥は「愛知県」説が有力
80年代には家族経営の喫茶店が実施

 喫茶店のモーニングサービスがいつどこから始まったのかについては諸説ありますが、有力な説のうちの二つが愛知県発祥説で、起源として一宮市の喫茶店と豊橋市の喫茶店の名前が挙がっています。

 私も名古屋のモーニング文化に染まって大人になったのですが、私が東京に上京した80年代初頭にはすでに東京の喫茶店でもモーニングサービスは当たり前のメニューになっていました。

 私が育った1980年代のモーニング事情を経済の視点で説明すると、当時の喫茶店は小規模経営が主流でした。言い換えると当時の喫茶店は脱サラをすれば誰でも手軽に開店できるビジネスであり、また大企業が参入してももうからないビジネスだった、そんな時代です。

 そして当時の学生や独身サラリーマンがなぜ喫茶店で朝食をとっていたかというと、当時はレストランの多くは11時にならないと開店しなかったからでした。まだ、マクドナルドに朝食メニューがなかった時代です。そんな時代に家族経営の喫茶店が、コーヒーの注文に追加する形で無料ないしは50円ぐらいのサービス価格で若者に朝食を提供するのが、モーニングだったわけです。

 また、当時の喫茶店のコーヒーは当時の値段で1杯500円とリーズナブルというよりは高かったという背景もあります。その家族経営の喫茶店は90年代に入り、徐々に街角から姿を消していきます。もちろん常連客を相手に長く続く喫茶店もたくさんありましたが、ドトールやスターバックス(以下スタバ)などのコーヒーチェーンが勢力を広げはじめたのです。