喫茶店のモーニングはこの先
カオスに陥る
さて、モーニングの歴史と現状を振り返ったところで、ここで話は本題に戻ります。世界的な小麦高と国内の卵価格の高騰、そして円安と賃上げラッシュという経済環境の中で、外国人が驚愕するような安くておいしいモーニングサービスは、今後も続けることができるのでしょうか?
私は経済の未来予測の専門家として、この問いに対してはちょっとシニカルな予測を立てています。それは「この先、モーニングはカオスに陥るだろう」というものです。
ここまで述べてきたようにモーニングは昭和の時代の家族経営から、大企業による規模ビジネスへと変貌しています。かつて名古屋のローカル珈琲店だったコメダも、今では巨大な飲食チェーンです。
そしてスタバにせよ、ドトールにせよ、デニーズにせよ、びっくりドンキーにせよ、コメダにせよ、大企業である以上は原材料の仕入れ価格高騰や電気代、人件費などのコスト増を企業努力で吸収しようと動きます。その吸収の仕方はいくつかパターンがあります。
論理的には、以下の3パターンの選択が少なくとも企業内部では俎上(そじょう)に載るはずです。
(1)価格と品質をともに維持する
(2)品質を維持しながら価格を少しだけ上げる
(3)価格を維持しながら品質を少しだけ下げる
では、仕入れ値が高騰する中で(1)の価格と品質をともにどう維持するのか?
これは仕入れ先に泣いてもらうとともに従業員に泣いてもらうパターンか、「他のもうけを当てにする」ことでモーニング自体は大幅な赤字を容認するかです。