争いになった場合、
勝敗を決するのは防御力

 野生の虫たちは、樹木の蜜を吸うことで栄養を取り入れますが、人間の飼育下とは違って「強いものが勝つ」弱肉強食の戦場です。ほとんどの場合は体の大きさで勝敗が決するので、自然と体が小さい虫が大きい虫に席を譲ります。カブトムシとクワガタの大きさを比べると、平均的にはカブトムシの方が大きいため、両者が争いになることはあまりないようです。

 もし同じ程度の体格同士で争いになったら、カブトムシは立派なツノでクワガタをすくい上げる技を狙います。一方のクワガタは強靭なハサミで相手を挟んで投げ飛ばそうとします。勝敗を決するのは攻撃力ではなく、相手の技に耐える防御力にあります。

 クワガタは相手の頭や体をガッチリと挟むことによって、カブトムシのすくい投げを受けて木から足が離れても、なんとか放り出されないように耐えることができます。そのまま耐えていれば、カブトムシがスタミナ切れを起こし、クワガタにも逆転勝利のチャンスが訪れるのです。

 まさしく勝利の蜜の味を得るのはクワガタなのかもしれません。