北京大学出身のインフルエンサーの動画が炎上
2月中旬、北京大学出身の3人の女性が、上野千鶴子さんにオンラインインタビューを行い、その動画は中国でちょっとした炎上騒ぎになった。
動画は約30分弱、中国の動画プラットフォーム・ビリビリ(bilibili、中国語では「B站〈ステーションB〉」)に投稿されたもので、公開されてすぐに290万回以上再生された。ビリビリ以外のプラットフォームにも広く拡散され、各サイトで注目ランキングの上位を占めた。3月初めの時点で、この話題に関連するアクセス数は5億PVを超え、微博(Weibo)でのリアルタイムのディスカッションの数は9万近くに達した。その多くが、上野さんにインタビューした3人の女性への批判の声だったのだ。
インタビュアーは中国のトップ大学である北京大学卒の3人の中国人女性で、北京大学のブランドを生かして活躍する、エリートインフルエンサーである。普段からSNSで、女性や結婚、育児問題など、現代のキャリアウーマンが抱える様々な社会問題について発信している。
動画は3人の女性の自己紹介から始まる。3人はベッドにあぐらをかいて座り、パジャマやスウェットなどラフな服装をしていた。それに対し、上野さんは化粧をし、きちんとした身だしなみで、背筋をピンと伸ばした姿勢で現れた。お互いにあいさつをした後、上野さんはやや驚いた様子で、「みなさんはベッドにいる設定ですね。女子会で楽しそう」とフォローしているような発言をした。
インタビューで彼女たちが聞いたのは、「あなたが結婚しなかったのは、男性に傷つけられた経験があったからですか? あるいは出身家庭に問題があったのですか?」「上野先生は『恋愛脳』(恋は盲目)になったことがありますか?」といった質問であった。また、彼女たちは既婚者なのだが、自分たちが結婚した理由については、「30歳になっても結婚しなかったら、周りからの圧力がとても大きくなるので、それに耐えられる自信がなかった」と語った。さらに「結婚した当初は子供を作らない約束をしたが、夫の希望により、結婚して4年目に子供を産むことに決心した」とも話した。
彼女たちのこうした質問や自分の体験談に対して、動画を見た多くの人たちは失望した。期待していたのに裏切られた、と感じたのだ。そして、彼女たちへ批判の声が殺到した。
「北京大学卒業者とは思えないレベル!薄っぺらな質問ばかりで、浅薄な思考しか感じられない。高学歴でも、見識や教養とは無関係だと分かったね」
「すごく残念だ! 相手は日本のフェミニズムの第一人者、上野千鶴子先生なのに。もっと深く女性問題について話したらよかったのに、男、子供、結婚の話しかしていないなんて……せっかくの良い機会が無駄になってしまった」
「パジャマ姿、あぐら……、上野先生に大変失礼だ。基本的なマナーさえ分からないのか。恥ずかしい思いだ」