チャットGPTPhoto:NurPhoto/gettyimages

世界のIT産業ではAI分野に関心がシフトしている。言語型AIなどと呼ばれる「チャットGPT」を用いてマイクロソフトは検索市場のシェアを、王者・グーグルから奪取しようとしている。AIが果たす役割は日常生活から企業の事業運営、社会インフラなどの管理、さらには防衛(安全保障)まで増えている。米国は中国が台頭する状況に懸念を強め、さまざまな対策を講じている。米中対立のはざまで揺れるAI業界の成長性をどのように見極めればいいのだろうか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

米中対立のはざまで揺れるAI業界

 最近、世界のIT先端分野の中心は、急速に変化している。主な兆候は、AI(人工知能)を使った文章や画像の生成などへの期待の高まりだ。米オープンAIの「GPT-3.5(チャットGPTを支えるAI)」、グーグルの「Bard」、中国バイドゥの「文心一言(アーニーボット)」などが注目を集めている。こうした先端分野の企業に期待する投資家が増え、足元で米ナスダック総合指数も底堅い展開になっている。

 米国のバイデン政権は、中国の華為技術(ファーウェイ)に対する全面禁輸を検討している。米議会では超党派議員によって、動画投稿アプリ「TikTok」の一般利用を禁止する法案成立も視野に入っている。なお、オーストラリアでは、AIを搭載した中国製の監視カメラの排除が進みつつあるようだ。日用品などの分野で米中の相互依存度が高まっている一方、先端分野での米中対立はさらに熱を帯びている。それは、世界経済にとって無視できないマイナスの要因になる。

 世界経済はウクライナ紛争をはじめとする不安要因を抱え、インフレなどに苦しんでいる。米国や欧州では、想定以上に金融引き締めが長引く可能性が高い。世界経済の成長に大きなインパクトを与えるAIなどの先端分野において、米中対立が一段と激化すると、実体経済と金融市場にマイナス影響が及ぶことは避けられないだろう。