仏像や仏画で私たちが目にしているご神仏のお姿や手に持っているもの、表情などには、それぞれのご神仏が持つご利益などに関連した意味があります。それらの意味を知ることで、今ある願いに最適なご神仏により深く祈ることができるようになります。
ここではご神仏それぞれのご利益などについて、嵐山晶さんの著書『願いをこめて、心身を整える ご神仏なぞるだけ瞑想』から、嵐山さんの繊細で美しいご神仏のイラストとともに紹介します。
旅立つ人を極楽浄土へ導く
「阿弥陀如来」
阿弥陀如来は、人がこの世から旅立つ時に現れ、極楽浄土へと導いてくれる仏様です。観音・勢至(せいし)の両菩薩を伴って、人間の世界に迎えに来る姿は、数々の阿弥陀来迎図でも知られています。
誓願を示す
48の光の線
無量寿如来(永遠の寿命)、無量光如来(無限の光)とも呼ばれ、私たちの世界をあますところなく光で照らしてくださいます。
光背から放たれる光の線は、48本描かれていますが、これは48の誓願を示しています。もともと阿弥陀如来は、法蔵という僧侶でした。法蔵が48の誓願を立て、無限とも思える時を経て成就した結果、如来になったと言われています。
穏やかな人生を願って
祈りましょう
他の如来像には厳しさを感じることが多いのですが、阿弥陀如来はどこまでも優しいイメージがあります。やはり、最期にお迎えに来てくださる仏様だからでしょうか。
少しふくよかなそのお顔に、あたたかみを感じてホッとしていただけたらと思いながら描きました。
なお、阿弥陀如来には立像と坐像がありますが、今回は大往生して間違いなくお迎えに来てもらえるよう、立ち上がった阿弥陀如来像を描いています。
この人生を最後まで安心して過ごしていける。そんなご利益をくださる仏様です。
東京都生まれ。日本デザイン専門学校卒。主にアジア圏の歴史文化を題材に、伝統的な図像に現代の感覚を取り入れた作品制作に取り組んでいる。挿絵を担当した書籍に『ときめく御仏図鑑』(山と溪谷社)、『龍神とご縁を結ぶ 「龍使い®」ノート』(宝島社)などがあり、他の活動に谷中西光寺の御朱印イラスト制作などがある。
高野山真言宗の阿闍梨。牧野山蓮乗院五十三世住職
高野山大学文学部密教学科卒業。高野山真言宗総本山金剛峯寺において得度。高野山真別処円通律寺において受戒。華道高野山一般華・伝統華師範補任。高野山大学加行道場大菩提院において加行成満。高野山宝寿院道場において伝法灌頂入壇了。主に小野方、三宝院流を中心に一流伝授を受け、真言神道、野沢三十六箇流総許可を受ける。
※本稿は、嵐山晶・著『ご神仏なぞるだけ瞑想』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。