2022年瞬く間に駆け上がっていったワケ

 ガーシー氏の名前がネット上で話題になり始めたのは2022年の初春からだ。YouTubeで芸能人の「裏の顔」について暴露し始めたその配信は、瞬く間にネット上で人気となり、開始2カ月足らずで登録者数は100万人を超えた(YouTubeチャンネルは2022年7月で終了)。

 アパレルブランドを経営し芸能人との交流の多かったガーシー氏は、その交友関係を武器に、どの芸能人の性格が良かったのか、どの芸能人から不義理を受けたのかといった内容を語っていった。ホワイトボードに著名人の実名を書き、個人的な経験をストレートに語る。チャット欄に書き込まれたコメントにも歯切れ良く回答していくその姿には、テレビにはないライブ感があった。

 スクープ記事を連発してきた「文春砲」を超える「ガーシー砲」だとも評された。ターゲットとなった当事者にとっては、文春砲よりもさらに生々しい証言を放送され、拡散されてしまうのだからたまったものではなかっただろう。

 一方で、ターゲットとなった芸能人やそのファンからの反発はあり、事実無根と抗議した人もいた。ターゲットに対しての攻撃的な言葉も多く、その手法が好きになれないという人もいた。そして、この原稿執筆中に、動画投稿の中で著名人らを脅迫したことなどを理由に、逮捕状が請求されたという速報が流れた。

 支持していた多くの人にとっても、ガーシー氏が出馬し、その後当選することまでは予想外だったのではないか。ガーシー氏は立花党首(当時)に迎えられるかたちでNHK党(当時)入りし、比例代表で参議院議員となった。

 YouTubeチャンネルを始めるまで一般の知名度は無に等しかった人物が、わずか半年足らずで国会議員となったのだ。

 その後の経緯としては周知のとおり、帰国しないガーシー氏は国会に一度も出席することなく、今回もっとも重い懲罰である除名処分が下された。